第55歩 最初が肝心

 雑誌社勤めのKさんから聞いた話


 Kさんはハウスメーカーの分譲地を購入し家を新築した。


家族も家を気に入って申し分なく暮らしていた。


 暮らし始めて、そろそろ一年が経とうという頃・・・


誰もいない二階から


―コツコツコツ


音がする。


音は昼夜を問わず聞こえる。

最初はネズミでも出たかと思っていた。


すると今度は居間で


―ガチャリ


ドアノブが動き勝手にドアが『スー』と開く。


立て付けが悪いのか家族もには気をつけていて

カチリと音が鳴るのを確認してドアを閉めていた。


 ある日、家族でTVを見ていると誰もいない二階から

―コツコツコツと音がしたと思ったら

―ガチャリ、ドアが勝手に開いた。


「この家なんか居るんじゃないの?」

家族が言い出した。


皆が気味悪く思っていると


今度は車庫の電動シャッターが勝手に動いて上がりだした。


―ダンッ、ガーーーー、キー、キーー・・・・


いよいよ変だという事になってハウスメーカーにクレームを付けた。


「施工ミスというより、まるで、お化け屋敷だぞ!」


話を聞いたメーカーの担当者が施工部に確認すると家を建てる前

地鎮祭じちんさい』をしていないことが解った。


メーカーから謝罪があり古来いにしえよりの儀式にのっとった、しかるべき対処をすると怪異は収まった。


 儀式を見ていた、ご近所さんから、その土地は元々、屠殺場跡とさつじょうあとだと聞かされたが、

今のところ幸い怪異も不幸も無く平和な日々だという。

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