第三話 私、花です。初めてデートに誘われちゃった!

 私が三年生の先輩にデートに誘われたって話してから、なんだか太陽の様子がおかしいの。


 えっ!

 なんで、なんで〜?


 太陽ったら、いったいどうしたんだろう?

 目を合わせてくれないし、怒ってるみたいにぶっきらぼうな態度なんだよ?

 変なの。

 太陽ってば、どうしちゃったのかな。


 私は思いきって太陽にどうしたの? って聞いてみた。

 そうしたら太陽ってば、真っ赤な顔して黙ってる。


「……行くなよ」

「――えっ?」


 太陽は真っ直ぐに私を見つめてる。

 怖いぐらい真剣な顔。

 私はそんな顔をする太陽を知らなかった。


「デートなんか行くなよ」

「なんで太陽にそんなこと言われなくちゃいけないの?」


 太陽は幼馴染みで、お父さんお母さんじゃないんだもん。

 行くなとか命令されたくないよ。

 初めて男の子にデートに誘われて、私はドキドキしてたのに。


「花はそいつのこと好きなのか?」

「まだ分かんないよ。出会ったばかりだもん。先輩のこと。……すっ、好きになれるかもしれないし」

「…………」


 また、太陽は黙っちゃった。

 喧嘩してるみたいに気まずい感じ。

 ただ、デートに誘われたって言っただけなのに、太陽と険悪なムードになりたくないよ。

 だって私にとって太陽って大切な存在なんだ。

 いつもそばにいてくれる、あったかくて優しくて大好きな友達だもん。


「俺は……。俺は、花が俺以外の男と仲良くするなんてイヤだっ!」

「えっ――!?」


 太陽は目に涙を浮かべてる。

 知らなかった。

 私が他の男の子と仲良くするのが、太陽はイヤなんだ。


「俺は花が好きだっ。大好きだ」

「――っ!」


 太陽が叫んで、すぐに部屋の窓を締めてしまった。

 びっくりしちゃった。

 私は驚きすぎて、しばらく茫然としてた。

 太陽の部屋の方を見つめながら、窓の前で立ち尽くしていた。



       つづく☆



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