第ニ話 俺、太陽です。花のことが好きなんだけど。
僕、
実は隣りの家に住む同い年の幼馴染みの、
僕は
いつの間にか好きになってた。
いや、好きなのに気づいたというか……。
僕と花は、何しろ生まれる前から、えーっと母さんのお腹にいる時から、お隣り同士にいたんだってさ。
うちの母親と花の母親は何かと気が合ったそうで、今でもお茶したりする仲良しだ。
花は僕のずっと近くにいる。
毎日、花と僕は顔を合わせてる。
僕にとっては昔からそれが当たり前だった。
だけどどうやら当たり前でもなく、ずっと続く確かなものでもないらしいと、誰かに言われて思い知った。
友達だったか、親だったか。
いつもそばにいる花が、彼氏が出来たり自分以外の男と結婚したら、今みたいに一番近くでいられない。
僕は花を取られたくないって焦っていたけれど。
僕が「好き」なんて、恥ずかしくって花に言えなくて。
花に「好き」なんて伝えるの、今更な気がして。
花も僕のことを特別に、大好きだと思ってくれてるなんて自惚れていたんだ。
「太陽、太陽〜。部屋にいる?」
あっ、トランシーバーから花の声がする。
「うん、いるよ! 今、窓開けるから。待ってて」
「うんっ!」
窓を開けると、花のいつもの笑顔にはからずも僕の胸がきゅんってする。
いつからか、花の笑顔をずっと見ていたくて。
花のことは僕が守ってやりたいと思うようになっていた。
でも、そんなことは、花は知らない。
花ってちょっと天然で鈍いとこあるしさ。まぁ、そこも可愛いんだけど。
僕が花を好きなこと――。
彼女はちっとも、気づいてなんかいないんだ。
「太陽〜、私、デートに誘われちゃった」
「――ッ!」
はっ?
はぁっ!?
今、なんて言った?
花っ! ねえ?
花がデートに誘われただなんて、僕の聞き間違いだよな?
つづく☆
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