第16話 勉強…
治癒魔法師のビーンス先生が言っていた。
「君はまず、基本的な勉強から始めないとだな。」
ミカエルの現在の居場所は、ポーラのいる医務室と自分の部屋だけだ。
ポーラを心配して毎日お見舞いに行っていたミカエルを見て、『子供時代の時間を無駄にしないように』とビーンズ先生は、ミカエルを自分の弟子にすることにした。
ミカエルが部屋から勉強道具を持ってくると、そこには既にミカエル専用の机がと椅子があった。
その机と椅子はビーンズ先生のデスクのお隣にあって、親子机みたいだった。
「君の机は今日から、この私のお隣だよ。」
「はい。」
「お、持って来たね。ちょっと見せて。」
「……、この机。」
ビーンズ先生は、創造魔術を使えるのだろうか…?
このようなミニビジネスデスクを作れるなんて…。
(もしかして、ポーラが回復して、作ってくれたのかしら。)
一縷の希望をもって、ミカエルは聞いてみることにした。
「ビーンズ先生。この机、もしかして」
「ああ、これは私が作ったよ。私のデスクを参考に、その小さい版を君に作ろうとね。」
「じゃあ、ポーラが作ったわけでは…」
「そういうことか…。ポーラは『創造の才』が強いからな。ごめんな、朝にも言ったが、まだちょっとかかるんだよ。」
「そっか…。そうですよね…。」
子供用の教材に一つ一つ目を通していた、ビーンズ先生はあることに気が付いた。
それは、その教材に頼るとかなり時間がかかるということである。
自分が教材を使わずに教えれば、その中の内容など数日で終わらせることができる。
しかしそれは、ミカエルの理解力と勉強への熱量があればの話なのだが…。
「ミカエル。この教材は使わないこととする。」
「え?でも、え。なぜですか?」
「この教材の内容は7歳児用の内容になっている。しかし君は治癒魔法師を目指している。早く、覚えたくはないかい?」
「それはもちろん…。でも、今まで勉強してこなかった私がいきなり難しいことを教えられて、理解できるものなのでしょうか…?」
ビーンズ先生は、ミカエルの的確な質問と言うか、指摘を受けて少し納得してしまった。
確かに、普通に1年分の勉強を教えるのならば、1年かかる。
しかしもっと効率の良い方法があるのである。
例えば算術ならば、足し算と引き算までならば数日で説明し、数日で理解することができるはず。
言語に関しては、ミカエルは現在7歳だから少し進んだ8歳用の書物を読ませ続ければ直ぐになれるであろう。
それから、自然の知恵に関しては、少しずつ教えていけば問題ない、半年ほどで全て終了することができるだろう。
「ミカエル、それはね。私の考えたプランで勉強していけば君史上最速で勉強を進められるかもしれない。」
「そうなのですか?」
「私を信じてくれれば、できるはずだ。」
「…。」
「納得していないようだな。進め方を説明する。」
ビーンズ先生は、ミカエルに説明をしてやった。
「よし、まずは算術を教える。理解出来たら色んな問題を出すから毎日それに答えていればなれるはずだ。」
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