第4話 転生の神…?

あれから何時間経ったのだろうか…。

あの白髪のイケメンかつ変人案内人の説明が雑なせいで、他の案内人(他の案内人がいるのであればだけど…)であれば感じずにいられるような不安まで感じているような気がする。


「何が、じゃんぴいでぴいよ。」


ミカエルはもう、自分が何者で、なぜ自分が生者の世界には居ずに、このわけ分からないところにいるのかも分からなくなっていた。

『早くここから抜け出したい。』という気持ちはなくなっていたが、この後自分はどうなってしまうのか、それだけが不安でしかなかった。

あの変人あんぽんたんな案内人はもう現れなそうだし、誰かがこの部屋に来る気配も何もない。

ここにいると、何だかトイレに行きたい気分になってくる。

足元がそわそわして、なんだか落ち着かない。


ミカエルがむずむずと、足を擦っていると何かが煌めくような音が聴こえてきた。

一体何が起こったのだろうか、いやみカエルの身には何も起こっていない。

気が付くと目の前にはいつの間にか小さな少女がいた(白髪変人あんぽんたん案内人の時と同じように)。

少女もまた、おかしな見た目をしていた。

背丈は小柄なミカエルと同じくらいで、胸はなくつるんぺたん。

髪の毛の色は若草色で、セミロングくらいの長さ。

薄い水色のワンピースを身に着けて、足には何もつけていない。

少女はじっくりと、ミカエルの周りを一周回ると、じろじろと彼女のことを眺めた。

そして、幼児のような話し方、幼児のような甲高い声で言った。


「お主、廃人の国から来たじゃろ。」


でたでた、『廃人の国』。

何なのよ、『廃人の国』って、ちょっと失礼な名前だわ。


「はぁ、あの白髪の案内人にも言われたわ。」

「はははははははっ、お主もついておらんのう。あのあんぽんたんに案内されるとは。まぁ、安心せい。ここからはわしの仕事じゃ。」

「…、あなたは誰?」


小さい胸をそれはもう大きく見せたいのか、見たこともないような反り具合で胸を張って得意げにしていた少女は、これまた大げさに驚くとまた話し出した。


「あの、白髪野郎…。お主は何も聞いとらんのじゃのう。」

「ええ、何も説明していただけませんでした。」

「では、自己紹介から始めるかのう。わしは転生の神。そしてここは転生の部屋じゃ。お主はこれから転生をする。転生じゃからのう、奇跡的にこれまでの記憶が残っていることもあるが、ここでの聞いた話は概ね忘れてしまう。だから多くは話す必要がないが…。」


この転生の神は新人なのか?

何をどこまで説明するのか、迷っているようだ。

幼い顔の眉間に皺を寄せて、いかにも今考えている。

テンプレートなど、ないのだろうか…。


「えっと…、神様?何でも良いから、早くしてくれないかしら?」

「お、わかったわかった。ではこうしよう、何も説明せん。しかし、ちょっとだけ選んでもらおうかのう。何も選べないのは良くないじゃろう。」


転生の神は掌をミカエルに見せるように広げた。

すると、宙にモニターのような何かが浮かび上がり、そこに地図のようなものが描かれていた。


「魔王の国、植物の国、魔法の国、虚無の国、廃人の国、聖人の国どれが良い?」

「…、それだけじゃ選べないわよ。それぞれがどんなところなのか分からないじゃない。」

「その説明はせん。選ぶのじゃ。」

「分かったわよ…。何でも良いから、3番目の国にするわ。」

「ほうほう、了解じゃ、それではこの扉から行くが良い。」


突然目の前に虹色の光る扉が現れた。

その扉には取っ手はなく、ただ潜るだけなよう。

そっと潜ると、突然眠たくなった。

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