第3話

大内は、最近、外に出て、桜を見ている、3カ月がたった。日課というのは、面白いものだと思った、季節がどんどん、過ぎていくのに、対して景色もどんどん変化していく、歩いていく道は変化しない、いずれ、ここの景色も変わるのだろうな、と、のんびりとしながらも思った。

ここにきて、だいぶ日にちが立つ、サーファーをするために、道の歩道で、海パンなどをはいて歩いている人がいる、春なのにである、よほど熱心なのだろう、多田に、絵画の進み具合をたまに聞かれる、「満足のいくものを、描けただろうか」と絵画の調子は、順調であった、一つ一つ空気を体に入れるかのように、一つ一つ絵画の絵を塗っていた、大内は「作品が5つできた、うちの一つが、満足いく絵画ができた。」と多田に言った、海の絵であった、太陽が日入る様子を、情景として描いていた。絵に力強さがでた、濃い色の今まで書いたことのない絵である。それを、美術館に売りに行った、美術館員に「綺麗な海ですね」と大変気に入られ買い取ってくれた。今度、画商を紹介してくれるとの話をいただいた。ありがたい話であった。物事は、時に歯車のように順調に進むことがあるものだと思った。


鈴川は、篠原と別れてから、家に帰りしばらく、絵画を自分の家に飾っていた。しかし、その数は一枚だけである。多田の家は、質素で奥行のない家であった、絵画もそれに見合った質素な絵であった、鈴川は、「篠原さん、絵画を少し見せてもらえないだろうか」と言った、篠原は「この絵画の中から、お気に入りのがあったら、選んでいいぞ」と許可をもらった。篠原に、絵画を見せてもらった鈴川は、山や動物などが描かれていた、一匹の狼だけの絵画に、目を引かれた。狼の目や鼻などが特に特徴的であった。どこか力強さを感じさせる、風貌でもあった。鈴川は、狼の絵画を選んだあと、泥棒として、自分が取ったものを、人に渡すことは滅多にないので、ありがたく受け取った。最近、同僚に怪しい仕事に誘われた、「簡単な仕事があるから、こっちで試してみないか」と

成功すると大金が手に入るらしい、株でも、金を増やすのが大変なのに、そんな簡単に行くのだろうかと思った。

大内は、先ほど会った男にどこか見覚えがあった。

美術館員の職員に画商を紹介してもらった名前は篠原である。作業員的な雰囲気のある男は、黒い帽子をしている、あまり、良い印象はないが、話してみたら、以外と忠実な男であった。「絵画の画家というのは、2つの種類がいる、人に絵を売る時、自信満々なものと、不安であるもの、君はどちらかといえば後者だ」とも言われた。

篠原は絵画の売却に関しての知識や、オークションでの出品の経験は豊富である、色々な画家と接触していき、知識でことごとく売りに出していた。なぜ、彼がこれほどまで、画家と接触できるかというと、大きなパイプをもっているからである。西欧の有名な画家と親密な関係によって、大手の会社ともパイプをもつ、篠原は業界では、知られてはいた。あまり、表にはでないが、優秀であることには変わりない。大内は、「ありがたい助っ人だと」、大いに喜んだ。絵画を売るのは、やはり画商の力が必要である、画商がいなければ、世に広まらないのだ、レオナルドダヴィンチや、ピカソ、などもそうである、画商がいて画家がいる、ようするに2人3脚なのである。大内は、これまで、あまりいい機会を得られなかった、いい画商にあわず、環境もそこまで、いいとは言えない場所であった。やはり、自然というのはいいものである。


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