第4話
ボクの趣味は映画鑑賞である。
好き嫌いは殆どなく、古典からB級、最新作まで結構手広く観ており、その知識には少しだけ自信がある。
特に古典名作はいくらでも見れるくらいには好きだ。近所にある映画館で〇ーマの休日やフォレスト〇ンプなどがリバイバル上映した日には平日でも見ようとするくらいには愛してる。いや愛してるなんて言葉じゃ言い表せない程の情念を抱いていると言っても過言じゃない。
と言う訳で帰宅したらまずは一作。勉強? 家でやったこと一度もない。課題は基本学校で終わらすように努力してるのだ。長期休暇の課題も然り。流石に自由研究を始めようとしたら怒られた記憶はあるけど……それはさておき。
収納付きのテレビラックの中のDVD群を眺めながらふと朝のことを思い出す。
結局誰だったのか……別に気にならない訳じゃない。正直こんな奴と噂になるとか相手に申し訳ないし。
「……ボクの恋人は映画だっての」
という訳でチ〇ーリーとチョコレート工〇のDVDを取り出してプレーヤーに入れる。取り敢えず頭を空っぽにしたい。明日は何も言われないだろうし、今日だけで一生分『恋人』だとかって単語を聞いたので心温まるファミリー映画でもね? 近くに前日譚もやるようだし。
映画を見ること暫く。作品も
母が帰って来たのだろう。
「ただいまーっと、今日はソレなのね」
「うん」
後ろから聞こえる声に適当な相槌を返しながらスマホで現在時刻を見る。午後六時……もうそんな時間かー。そりゃそうか。
再びテレビに意識を向ける。作品も終盤。一瞬、誰かからメッセージが着ていた旨の通知が見えたけど、後回しでも大丈夫だろう。
■■■■
「――そう言えば
映画を見終わり、夕飯作りの手伝い――と言っても多少野菜を切ったりする程度――をしていると、不意に母さんがそんなことを聞いて来た。
「続いてるって……そりゃあまあ」
「いいわねぇ。いつ紹介してくれるのかしら」
「そういう仲じゃないってば」
あくまで小鳥遊さんとは映画を観て、一緒に土日にランニングするだけの関係であってそれ以上でも以下でも……って改めて考えるとコレどんな関係なんだろ? 親しいのか親しくないのかよくわからんね。
母さんは「そうかしらね~」と笑いながら鍋をかき混ぜる。
「……どういう意味さ」
「女の子は気がない男の子とそう毎週映画を観たりなんかしないってことよ」
「一括りにそう言うのはどうなのさ」
「面倒くさい子になったわねぇ」
誰に似たのやら。と母さんは苦笑する。
間違いなく貴女の旦那だよ。
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