第4話 再建の始まり
西暦1945(昭和20)年10月15日 大日本帝国東京 首相官邸
新たな脅威の出現から凡そ2か月が経ったこの日、内閣総理大臣官邸では
「そうか…アメリカはそこまで思い切った支援に踏み切ったか」
「はっ…イギリスも我が国に対して軍事支援をすると公表しており、少なくとも必要最低限の自衛は叶うでしょう」
皇族出身として初の首相である東久邇宮殿下は、吉田の言葉に頷く。サクソニア共和国が事実上の全世界に対する宣戦布告を成した後、アメリカは防衛線の再画定を実施。米軍は即座に日本本土と朝鮮半島南部に進駐し、防衛体制の構築を開始した。
そして連合軍司令部との協議と帝国議会での審議を経て、『国軍再建法』と関連予算が採択。直ちに壊滅した軍の再建が都市・経済復興と並行して進められる事となった。その内容は以下の通りだった。
・陸軍は規模を大幅に縮小し、14個歩兵師団、2個機甲師団にまで縮小。人員は幅員を果たした者達で確保する。
・海軍は最低でも2個空母機動部隊を編制できるだけの水準にまで回復させる。尚、特攻作戦のために開発された専用兵器は全て廃棄処分とする。
・陸軍飛行戦隊は空軍として分離独立させ、7個航空団からなる本土防空を主任務とした部隊として再編制する。なお爆撃機については、規模を大幅に縮小させる。
・将兵の訓練については、連合国からの指導を加える。
・装備生産拠点については、連合国で用いられている規格を今後採用していく事とする。
特に生産拠点の作り直しは、安全保障体制の再構築において必要だった。これから日本は、アメリカからの供給を元に自衛をしていかなければならない。サクソニア軍の規模が未だに不明である事を踏まえれば、この判断は必然と言えた。
「陛下からは、統帥権についてイギリス方式のそれに変える様にとの指示が下った。どちらにせよ
首相はそう言いながら、小さくため息をついた。
・・・
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