第4話

 「はい、お着替え完了。ルー、これで貴方もアリナ様専属の執事ですよ。でも、見習いだから見習い講座も受ける事。良い?」

「…!」

「聞いてないし……まぁ、私も嬉しいから目を瞑るわ」

キラキラと目を輝かせて自身の着る服を見たり触ったりするルー。

「アリナ様に失礼の無いように、ね?」

「はい!」


 「アリナ様、ルーです」

「入りなさい」

「失礼します!」

キィ、と扉を開くルー。

「随分と似合っている事…ルー、今日から励みなさい」

「はい、アリナ様!」

元々孤児院の長兄的存在だったからなのか、テキパキ行動するルー。

「アリナ様、行ってまいります!」

「しっかりと学ぶのですよ」

(ルーには、いつかあそこ暗殺部隊に入れたいし…今の内にしっかりと教養・武術・剣術を学んで貰わないと!)

私の口角は自然と上がった。

それをルーに悟られぬように、扇で口元を隠した。


 暇だ。ルーは今頃、じいやの見習い講座を受けているだろうなぁ…。

疲れてるだろうし、おやつのマカロンでも作ろうかな?

そうそう、暗殺部隊に入るには毒を身体に慣れさせなきゃ。毒を薄めてほんの少しだけいれようかな?

「アリナ様、眉間に皺を寄せて…如何しましたか?」

「ヨーリア!丁度良い所に来ましたわね!ヨーリア、ルーを暗殺部隊に入隊させたいの。でも、入隊条件に毒に慣れている事と書かれているでしょう?そこで、マカロンに薄めた毒を少々入れようかと思ってるの。ヨーリア、どうすべきかしら?」

ぽかん、と口を開ける召使いのヨーリア。

「…ルーを、ですか…?アリナ様がしたいようになさって下さい。私達は、アリナ様の手伝いしか出来ませんから」

ニコリと微笑むヨーリア。

「分かったわ…私、ルーを厳しく育てますのよ!」

顔をキリッ、とさせたら、ヨーリアは部屋を出て行った。

……ヨーリア、何しに来たの??

まぁいいや、と厨房へ向かう。

道中、薬師のコンメージに声を掛け、毒を薄めて少量持って来るように伝えた。

「アリナ様、マカロン作りですね?ヨーリアから聞きました」

「話が早くて助かるわ。材料は?」

「揃えてあります」

「そう…じゃあ早速作るわよ」

「御意」

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