第5話
「出来た…!これをルーに持って行こーっと」
マカロンを籠に入れ、ルーとじいやの居る部屋に向かう。
「入りますわよ」
扉を開くと、汗だくのルーと上半身裸のじいやが居た。
「お嬢様…!お見苦しい所を見せてしまい、申し訳御座いません…!」
「アリナ様、それは?」
「マカロンですわよ。ルー、休憩がてらにおやつとして食べなさい。私はここで一休みしますので」
紅茶をじいやが淹れてくれ、ルーは元気に「いっただきまーす!」と言って、マカロンにかぶりついた。
「ん!おいひ〜!」
最初こそ嬉しそうに食べていたルー。でも、(少量の薄めた)毒が効き始めたのか、少しずつ顔が青くなっていく。
「アリナ、様…この、マカロン…毒が、あります…アリナ様、絶対食べないでくださ…………………ッ、うあああああああああああああ!!!!!!」
言い切る前に悲鳴を上げるルー。
じたばたと寝転がり、横に行ったり来たりするルー。少し可哀想に見えたが、私はルーの為と我慢した。
ゲホッ、と吐血したルー。
そして、気絶した。
「…じいや、医者を呼んで」
「御意」
「…ん……」
「目覚めましたか?」
声を掛けると、ルーはビックリした様子で私を見た。
「ア、リナ様…あれ?僕、何故ここに…?」
「随分と長い御昼寝でしたこと。毒にはもう慣れましたか?」
あの毒…シュ・ランと云う花の根。根を口にした場合、即効性なので五秒後には痺れ、吐き気。十秒後には吐血、その後、心肺停止状態に陥る猛毒なのである。
今回は薄めて、微量にしたからか少し効くのが遅れた。
「アリナ様、僕、毒…え、?」
「ルー。貴方には、いつか国家暗殺部隊に入隊させたいの」
「え、」
目を見開き、驚くルー。
「アリナ様、話が読めません…それが何故、毒入りマカロンを僕に食べさせたのでしょうか……」
戸惑うルー。その瞳には、ハッキリと不安が滲んでいた。
「…その部隊には、毒が身体に慣れている事、が条件なのです。特に、慣れていて損は無い毒をマカロンに混ぜたのですよ。…理解出来ましたか?ルー」
「……」
ショックのあまり、声も出ないルー。
「では私、用事がありますので失礼しますわ」
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