episode.18:虚しさ

 僕は暗い部屋の中、布張りのソファーに腰を掛けている。

 その隣に寄り添う彼は、虚しさ。

 二人並んで、目の前の暗闇を見つめている。


「僕は何故存在しているのだろう」

「何故だろうね」


 僕の言葉に彼は感情を伴わない声で返す。

 僕は尋ねる。


「君は何故存在しているんだい?」

「それがわかれば、ぼくはぼくでいられなくなる」


 彼はやはり温度のない声で答えた。


「ぼくは喜びや悲しみ、彼らの狭間に存在するだけの存在さ」


 僕にはよくわからなかった。

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