episode.10:エイプリルフール

「やあ、一年ぶりだね!」


 ハイテンションな彼に僕はそっけなく返す。


「僕は君があまり好きじゃない」

「まあ、そういわずに」


 彼は僕の腕を引き、速足に歩き出す。

 目の前に現れる文字列に、画像。

 どれも嘘。


「見て見なよ。この世にはこんなに面白い噓が溢れてる!」


 楽しく笑う彼を見て僕は言う。


「君のいない日にも、嘘は溢れてる。醜い嘘がね」


 彼はきょとんとした後、けらけら笑った。


「なかなか面白い嘘じゃないか」


 そうして、僕のついた嘘を空に書きだした。

 僕の吐いた真実が、ありふれた嘘に変わった。

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