episode.7:情けなさ

 背の丸まった黒い影に向かって、僕は言う。


「君はどうして存在しているんだい」


 背をますます丸めた彼は、情けなさ。


「価値がないのに」


 彼の身が震える。


「意味もないのに」


 彼は両手で顔を覆った。


「君なんて必要ない」


 彼の頬から涙が落ちた。

 僕は立て続けに、彼を強く非難した。


 彼は子どものように癇癪を起し始めた。

 顔が見えた。声が聞こえた。


 彼は僕自身だった。

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