episode.3:ヒーロー

 真っ白な空間に、真っ赤なマントをひるがえす青年。

 僕を見つけると、片手を上げる。


「よう、元気か?」

「そこそこだね」


 気やすい答えに、彼は笑った。


「何をしてるの?」

「何もしてないさ」


 彼は答える。


「ヒーローってのは、敵がいないとすることがないのさ」


 僕は納得した。

 携えた剣の柄に手を添え、彼は尋ねる。


「お前に敵はいるか?」


 僕は答える。

 

「僕自身だね」


 次の瞬間、僕の首が飛んだ。

 彼は言う。


「これがヒーローの役割さ」

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