episode.2:眼球

 僕は見られている。


 真っ暗な空間の中、ただ一つ白い眼球が浮いている。

 虹彩の色は黒に近いブラウン。


 僕は見られている。

 僕も見つめ返す。

 それの瞳には僕が映っている。

 僕の瞳にはそれが映っている。


 合わせ鏡のように永遠と続く、僕とそれの見つめあい。


 ずいぶん長い間、そうしていた気がする。

 

 それの瞳に白が映った。

 黒の空洞がそれを見つめる。

 だが、虚ろな穴はそれを映すことはできない。

 

 僕は白い骨と化していた。


 眼球と骨。一方通行の見つめあい。

 

 永遠が終わった。

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