3人…それは友達同士
次の日の休み時間
俺がチャイムの音に一息ついて
教科書を揃えカバンに入れていると
御崎が振り返り
「ナオが来る、紹介するから」
「小学校一緒なんだろ?」
「小五から友達…」
「あ、来た…ナオ」
薄い茶色のウエーブが緩くかかった髪。華奢で瞳の色も薄くてハーフみたいな感じ
ナオによるとヨーロッパ系の血が混ざってるとか
純粋に日本人じゃないらしい
「カズだったっけ?よろしく」
女みたいな綺麗な顔したやつだな
俺は紹介された相手を改めて観察した。
「よろしく…えっと」
「ナオでいい、ユウの友達は俺の友達だし」
「あ、ああ…」
さりげなく威圧的
なんか怒ってるのか?坂井…じゃなくてナオ…
「ふーん、結構勘良さそう…か」
ナオは俺を値踏みするようにジッと見つめる
「カズは南先輩の弟なんだよ」
「あの天才?」
俺の兄貴は県で一番の成績だった。生徒会長で吹奏楽部部長
この学校の有名人だ
「兄貴のことは別にいいだろ」
俺はいつも兄と比べられる
親は兄貴のことばっかで俺のことなんてどうでもいいみたいだ
俺だってクラスで1番学年で10番台なんだけど
褒めてもらえるわけがない
兄貴が凄すぎて俺は…
「でももう言わない、御免」
ユウは俺の気持ちがわかってるらしい
そう思って少し嬉しかった
「でも、カズ、ナオにはその説明しとかないと
後から言うのも変だろう?隠すことでもないし」
「ああ、そうだな…ユウ、大丈夫、いつも俺は兄貴とばっか比べられて
神経質になっているだけだから」
そうやって二人で話すのを黙って見守るナオ…
何を考えているのか…見当がつかない…
薄茶の瞳の中は読めない光が漂っている
「とりあえずツイッターフォローして俺とナオの、あと…LINE教えるから」
ナオは俺にはあまり話さない
まぁ仕方ない会ったばかりだし
ただ、意味深な瞳で俺を見てるのが気になったけど
とりあえずこの日から、俺はユウと色々話した
たわいのない好きな動画の話やボカロや小説の話
俺はそんなこと話せる奴がいなかったので
ただ嬉しかった…
中学になってから他のやつらは俺が天才の弟で成績もいいほうだったから
ある意味一線を超えて友達にはなってくれなかったからだ
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