第15話

「ねえ、幸」

「あーん」

「んあんでアンタさちって名前なのに

ひとつもしあわせじぁないの」

ミオが幸田幸にぶしつけにいった。

「ほっとけ、好きでこんな名前で

生まれてきたわけじゃないわい」

幸が不機嫌そうに答えた。

「この子はまず、顔が不幸だからね」

和江が補足した。

「こりゃ、いまの時代に禁句じゃぞ」

幸が文句をつけた。

「あーあ、みんな浮気されてんのか」

和江がやるせなさそうにいった。

「わたしは絶対に旦那を許さないんだから」

ミオがまなじりをけっしていった。

「具体的に何かやってるの」

幸が聴く。

「まあ、とくとご覧あれ、よ」

ミオがどんと、胸を叩いた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る