第5話

「これは、なに」

ミオがビニール製の人形を

掴んで忠に詰め寄った。

「これは」

「それは」

「AI搭載最新鋭ダッチワイフだ」

「くっだらない」

ミオがダッチワイフを引き千切ろうとした。

「あっ、こら、こら、よせ」

「何が、あっ、こらこら、よせよ」

「しかし」

「あなた」

「なっ、なんだよ」

「つまり、私じゃ満足できないと

そういうわけね」

「そうはいってないだろう」

「遠回しにそういうことになるじゃない」

忠がダッチワイフを膨らました。

「これはな」

「なによ」

「頭がいいんだ」

「どう、頭がいいのよ」

ミオが腕組みして仁王立ちした。

「つまりな相手の男のアソコを

記憶してサイズを復元するという」

「くっ、だらねえ」

ミオが吐き捨てた。

「しかも、な」

「歌がうまいんだ」

「ダッチワイフが」

「そう」

忠がボタンを操作した。

ダッチワイフの金切り声が部屋中に

流れた。

「消して、消してよ」

ミオがたまらず悲鳴を上げた。

「あれーっ、おかしいな」

「なにがおかしいなよ」

「ダンスがうまいんだ」

「やらせてみてよ」

思いきりミオに殴りかかる

ダッチワイフ。

「もういい、もういい」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る