第2話

「ミオ、チューハイ買ってくる」

忠がミオに向かって手を差し出した。

忠の手のひらに手のひらを乗せたミオ。

「なんだ、これは」

「お手、じゃないの」

「ちがーう」

忠の手のひらに右足を乗せたミオ。

「なんだ、これは」

「お足、じゃないの」

「んなもん、この世の中に存在するかよ」

忠の手のひらに大福もちを乗せたミオ。

「なんだ、これは」

「練馬大根」

「チがーう。いや、そういう問題

じゃない」

「じゃ、なに」

「チューハイ代だよ、ちゅう―ハイダイ」

「そんなはした金も持ってないの。

情けないオトコ」

「やかましいわい、ほっとけ」

「いくら」

「二百円」

「ダイヤのネックレス買ってくれたらあ・げ・る」

「いらんわい」

忠が怒って部屋を出て行った。

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