第3話 告白のラッシュ

秋が深まり、木々は色とりどりの衣をまとう季節が訪れた。祐一の日々は、以前の単調さから一転して、予期せぬ出来事に満ちていた。それはまるで、彼の内面に秘められていた色が、世界に溢れ出したかのようだった。


美咲とのプロジェクトが成功を収めた後、彼女からの告白は祐一の心に新たな火をつけた。「祐一くん、私、あなたのことが好きになっちゃったみたい。」


彼女の言葉は祐一にとって甘美な響きを持っていた。しかし、それは予想外の事態だった。祐一は美咲の告白を受け入れたが、それが学校中に広まるとは思ってもいなかった。


彼の変貌ぶりは、クラスメイトたちの間で話題となり、何人かの女の子たちが彼に興味を持ち始めた。放課後、いつものように図書室の本に囲まれていた祐一のもとに、思いがけない訪問者が現れる。


「祐一さん、ちょっといいですか?」控えめな声がした。振り返ると、そこには普段はあまり話すことのないクラスの女の子、梨花が立っていた。


「実はあなたに告白したいと思って…」梨花の言葉に、図書室の静寂がより一層深まったように感じた。


告白のラッシュはここから始まった。次々と現れる女の子たち。祐一はこれまでの人生で経験したことがないような、心温まる注目を浴びていた。


しかし、この突然の人気に戸惑いを隠せない祐一。彼は一体どのように対応すべきか、深く考え込むことになる。


祐一は自分のデスクに座り、ぼんやりと窓の外を見つめていた。秋風が葉を舞い上がらせるたびに、彼の心も揺れ動いた。梨花の告白から数日が経ち、彼の耳には他の女の子たちからの囁きが絶え間なく届いていた。


彼は自問自答を繰り返していた。これまでの彼ならば、こんなことは夢にも思わなかった。告白というものが、こんなにも甘く、そして同時に苦いものだとは。


「祐一くん、放課後、少し時間ある?」と、また新たな声が彼の思考を遮った。今度はクラスの人気者、絵里からの声だった。彼女はいつもと違う、柔らかな表情で祐一を見つめていた。


学校が終わると、祐一は絵里と校庭のベンチに座った。彼女は緊張した面持ちで、ゆっくりと口を開いた。「祐一くんが変わったの、すごく感じる。私、その…あなたのことが気になってるの。」


告白のラッシュは続いたが、祐一の心はそれを素直に受け入れられずにいた。彼は自分が本当に望んでいるものが何かを、まだ見つけられていなかった。


祐一は夜空に浮かぶ星を見上げながら、これからのことをじっくりと考える時間が必要だと感じていた。星々は変わらず輝いているが、彼の人生はこれまでとは異なる軌道を描き始めていた。彼は知っていた。この告白のラッシュを通じて、彼は自分自身と向き合う旅を始めることになるのだと。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る