エピローグ 今回の結論
第63話 冒険者ギルドに行く前に
カサクラからドーソンまでは、お約束の高速移動。
飛ばしまくった結果、ドーソンの南門前まで40分位で到着。
ミーニャさんとジョンを
「一瞬で違う場所に出る感覚ってのは、やっぱり慣れないよな」
「でも便利でいいのニャ。あとお腹が空いたのニャ」
確かにお昼を少し回った時間だ。
どうやらミーニャさんの腹時計は、時間停止状態の
「まずは冒険者ギルドに行って、報告手続きをしましょう」
「その前に飯なのニャ。ついでに今回、ギルド持ち出し以外でかかった費用を計算する必要があるのニャ。だから冒険者ギルドの前に、エイダンの家がいいのニャ」
えっ!?
まあ別に来られて困るような状態ではないから、大丈夫ではあるけれど。
「クリスタの事だから、冒険者聴取報告様式くらい持ち歩いていると思うのニャ。ニャんなら
それにエイダンが用意した矢や補食類は、厳密に確認して費用を確認する必要があるのニャ。エイダンはなまじ自作で調達できる分、費用の見積もりが甘いのニャ。そこはしっかり査定して、費用を請求させる必要があるのニャ」
ミーニャさん、冒険者としては有能だししっかりしている。
どうしても夕食をたかりに来る駄猫というイメージが強いのだけれど。
普段が普段だから仕方ない。
「確かにそうですね。費用を確定してから冒険者ギルドに行った方が、無駄な両替の手間も省けますから」
「あとはアレについて、もう少し詳しく話しておいた方がいいのニャ。出会ってしまったからには必要だと思うのニャ」
今回のアレとはクリスタさんではなく、モリオンについてだろう。
どうやらこの世界、名前を呼んではいけない人が結構いるようだ。
「わかりました。ですがエイダンさん、お邪魔して宜しいでしょうか」
そうだ。本来はそれをミーニャさん、俺に最初に聞くべきだった気がする。
依頼が完了して冒険者的緊張感が薄れた上、腹が減って駄猫モードが出かかっているのだろう、多分。
「ええ、大丈夫です」
最小限の家具以外は全部、
家具の一部、例えばテーブルと椅子も
だから部屋が散らかることはないし、掃除も簡単。
困る事はまず無い。
「わかりました。それでは申し訳ありませんが、エイダンさんの家にお邪魔しましょう。それでしたら西門から入った方が20分程節約できます。高速移動を使えば西門まで数十秒ですから」
こういうところの合理性がクリスタさんだ。
◇◇◇
「それじゃまずは昼食、ついでに依頼完遂パーティなのニャ。ギルドの正規の食事とエイダンが持っている補食を、ここで景気よく思い切り出すのニャ」
いや、待てそこの駄猫。
「思い切りよく出したら多過ぎます」
「ええ、それにまだ依頼が終わった訳ではありません。報告が終了してこそ依頼完遂です」
「だから今食べた分は依頼実施中にカウント出来るのニャ。ニャので思い切りよく食べて、これも依頼のうちにしてしまうのニャ」
「ギルドから出した食事以外、いわゆる補食の費用については、冒険者側の負担となります。ですからここで出す事はありません」
「冒険者ギルドで一度出した食事は、日数が余っても返還する必要はないのニャ。でもあれは
冒険者としてのミーニャさんは今回、結構活躍した。
だから今は、ちょっとだけ要望に応えてやろう。
「わかりました。それじゃほどほどに放出します」
まずは冒険者ギルドが出した昼食を一回分。
野菜とローストビーフをたっぷりはさんだバゲットサンドが6本に、飲み物としてドリンクヨーグルトが1リットル。
そして補食の方は、刺身を各種、通常の4人前程度ずつ。
小魚のフライと南蛮漬けをそれぞれ6匹ずつ程度。
ウミタナゴの煮付けを1匹分と、ヒイラギの煮付け3匹分。
刺身はドレッシングで食べれば、そこそこパンにもあうだろう。
煮付けはまあ、無いとミーニャさんが出せといいそうだから。
これでいいだろうと思ったところで、ミーニャさんから請求が入る。
「あとあの甘い干物と、おにぎり両方が欲しいのニャ」
はいはい、というところでアジの味醂干し2匹分と、おにぎり2種類2個ずつを出したところで。
「それではパーティなのニャ。皆さんお疲れ様ニャのだ。ではいただきますニャ」
ミーニャさんが真っ先に食べ始めた。
「それで補食や装備の費用はどうしますか」
「補食は今ここに出ている分までを、市場価格に即して評価すればいいのニャ。それは全部食べ終わったら私がするのニャ。あと今回、装備のうち計算が必要なのは、矢と釣りの仕掛けなのニャ。だからエイダン、その辺に用意した矢と使用した釣りの仕掛け一式、あと店で購入した材料の領収書を出しておくのニャ。そうすれば食べ終わるまでに、そこのせっかちエルフが勝手に計算するのニャ」
ミーニャさん、クリスタさんをせっかちエルフ呼ばわりしている。
でもそう言えば、今回の依頼実施中はミーニャさん、クリスタさんを敬称なしで呼んでいた。
そして本人がいない時はアレと呼んでいる。
その辺に何か謎ルールがあるのだろうか。
「わかりました」
その辺の気になった事は取り敢えず置いておいて、俺はミーニャさんに言われた通り、矢と、
ふと気がついたので、確認してみた。
「矢は使ったものも、再利用できるように修理してしまいましたけれど」
「大丈夫ニャ。普通の冒険者は矢の再生なんて出来ないから、ここは使った=消耗したとして計算するのニャ。それに完全に修理してあっても、クリスタなら時間魔法で使用履歴を見る事が出来るのニャ。だから問題無いニャ」
どうやらミーニャさん、クリスタさんの能力や扱い方を熟知しているようだ。
きっとそれなりの関係が2人にはあるのだろう。
冒険者ギルドの上司と部下とか、一緒に依頼に行って酷い目に遭った相手という以外にも。
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