夕顔の夢

うだる暑さの夏なれど

涼しく光れり君の笑み


どんなに心を焦がしても

届くことなき我の指


白くか細い首筋に

舌を這わすは幻影か


どれほど心に煤をつけ

切なき恋を案じては

数えきれないため息に

埋もれる我を知るや君


我の心を熱くする

冷たいはずの君の指


我の身までも切り裂くは

優しいはずの君の声


我に刃を突き刺すは

円いはずの君の瞳


どれほど苦しみ悶えつつ

ひたすら君を欲しては

死の淵までも垣間見て

日々病める我を知るや君


愛すればこその憎しみと

憎めばこその愛情と

汚く混じった感情が

生み出す汚き恋の詩

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