朝目覚めてすぐに香を焚く

ひとつの儀式のように必ず香を焚いている

燃え尽きて

灰が香皿にふりかさなっているのを見て

自分がいるなと思う

自分には良い香りも

愛される理由もないけれど

灰はたしかに自分だと思う

火はいっとう清純で素直なものだ

幼子のようだといつも思う

そんな美しいものに燃やされ尽くして

灰になることも悪くない

ただ燃やされもしないのに

最初から灰なのではないだろうか

なんの役にも立たずそこにあるだけの

意味のないものではないかと思ってしまう

それでもなにか愛しいと思うのだろう

きっと明日も灰を眺める

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