第2話 楽しい授業

 学校に向かうには二人とも同じ電車を使って通学する。横に妹が立っていたのだが、妹は可愛いのですぐ痴漢されそうになった。俺はその痴漢男に軽く注意し、痴漢をやめさせた。

 


その男を次の駅で降ろして駅の係員の方に預けた。叶人たちは目的の学校前駅で降り、自分たちが通っている学校へと向かった。

「よし、行こうか。」

「そうだね、お兄たん。」

 

二人は、もう一度電車に乗ると叶人はある質問をした。

「朝ごはんってあれなんで辛くしたいの?」

「え〜、辛い方が驚くでしょ!驚いた?」

「驚いたよ!」


 質問が終わると、丁度電車でアナウンスが流れた。

「次は、学校前駅〜!」 

「あ、ついたね。」

「お兄たん、一緒に行こうか。」

 電車が駅につき、扉が開いた。

「お兄たん。行っこっこっこ〜」

「分かった、いいよ。」

 

 


 二人は電車が目的の駅についたので、学校に向かった。学校は、今は楽しい。詳しく言うと、行きの電車と授業は楽しい。学校自体は、ずっと叶人は陰キャで友達がいなくほとんど一人ぼっちだ。そして、帰りは桐乃は部活と生徒会をしているので、絶対に帰りの電車は一緒にならない。そのため、行きのこの電車は楽しい。また、この学校の授業では中学の生徒と高校の生徒が一緒に授業をして仲良くなるようにできている。

 


例えば、中学の一年一組とと高校の一年一組の様に同じ数字のクラスが一緒に授業を行う。叶人も桐乃もどちらも二年三組なので、毎日一緒に授業している。そのため、授業も楽しいのである。

 

駅から出ると、目の前に学校はある。当たり前だ。この学校のために作られた駅なのだから。この学校は中学の生徒と高校の生徒が一緒に同じ校舎で勉強できると言うのがウリなので叶人はこの学校を選んだ。叶人はこの学校を選んで、桐乃にここで一緒に通わないか、と誘ったのだ。それに「いいよ!」と返事をくれた桐乃は二人でこの転校して、半年前からこの学校で通うことにしたのだ。

 



最初は転校生なので、人気者になれるかな、と叶人は思っていた。でも、現実は違っていた。最初に転校した日だけは何となく歓迎されたが、次の日からは叶人が根っからの陰キャだということがバレて、陽キャの奴らは皆、相手にしてくれなかったのだ。相手にしてくれたのは、ボカロ好きの田淵とアニソン好きの野田だけである。それからは、叶人は三人でグループを作って、アニメや漫画の話をしていた。


一方、桐乃はクラスの人気者だった。桐乃は転校した当日からラブレターを30個以上もらい、告白も10回ほどされていた。


 でも、全員に同じ返事をしていた。


      「私、好きな人がいるから無理なの。」

 



どんなにイケメンでも運動神経が良くても頭が良くても、断っていた。

 


そんな二人が今日も学校生活を送っていると、一時間目の国語の授業が始まった。この授業では、中学生が高校生の教室まで向かうことになっている。一応、高校生は先輩なので、中学生の生徒が向かう方がいいとことでこの様なことになったのだ。

 


しかし、中学生だけにもらえる権利もある。それは、席を選べる権利だ。高校生は、自分の教室であるので、もう席が決まっているが中学生は決まっていない。そのため、より座りやすかったり、横にイケメンがいたり、横に可愛い子がいたりする席を先にいって選ぶのだ。

             

            「よし、席取るわよ〜!」

 

休み時間と同時に中学生の生徒たちは廊下を全力疾走(本当はいけないのだが。)で高校生の教室まで走った。だが、桐乃は全力疾走をせずに、叶人の教室まで歩く。

「何で走らないの?」

 桐乃は今日、このことについて質問された。それに、桐乃は優しくこう答える。


「走っていい席取るくらいなら、歩いて席とった方がいいわよ。」


(いや、そんなことできないだろ〜)

 そんなことを皆は思いながら、桐乃の話を聞いていた。その話を聞き終わるとすぐに高校生の教室に向かい、高校生の教室の中に入った。

「こっちおいで〜!」

 高校生の皆が、横の席に来ないか、と誘ってくれている。生徒たちはイケメンや運動神経がいい生徒、頭がいい生徒などの生徒の横に座って授業を始める。ほとんどの高校生の横に生徒がいる中、横にまだいない生徒もいる。

 その生徒の一人が叶人だ。叶人は陰キャで別に何も取り柄もないので、横に誰も来てくれないのだ。


(今日は誰も来ないかな?)

 

そんなことを思って授業を始めると横に誰かが座ってくれた。座ってくれた相手は、妹の桐乃だった。美少女で運動神経が良く、最高の頭脳を持っている彼女が何でここなんかにいるのか。叶人は桐乃になぜ、ここにしたのか聞くことにした。


「お、お兄ちゃん!私、お兄ちゃんのことが大好きだからだよ……」

「桐乃……俺は、お前と横の席にいるとドキドキしすぎた……」

「だから、何でここにしたのか聞いているんだ。」

「そんなの、別にいいじゃない。」

 桐乃の話によると、叶人が好きだから、この席にしたらしい。別に余っていたから、この席にしたなどという理由ではないそうだ。

 授業が開始し、国語のプリントが配られた。この学校では、高校レベルのプリントを配り、その授業を高校生が教える。この様な授業スタイルをとることで、中学生は高校生の学習が身につき、高校生は復習ができる。そして、今回は短歌と俳句の違いについて学んだ。


「お兄ちゃん、短歌と俳句って何が違うの?」

「それはな、俳句は五、七、五の十七文字で作られた季語を含む和歌で短歌は五、七、五、七、七の三十一字で構成され、季語を含まなければダメって言う制約があるんだ。」

「そうなんだ、教えてくれてありがとね。」

 


叶人は、桐乃に短歌と俳句の違いについて説明すると、すぐにプリントを開始した。プリントは高校生と横の席に座っている中学生に二人で一枚配られる。仲良くなり、勉強するのが目的らしい。

 桐乃と叶人にとってはこのシステムはとても都合の良いものだった。お兄たんと一緒に勉強できる上にお兄たんと喋りながら、勉強できるのだ。

 桐乃と叶人はこのシステムを利用し、ずっと話しながら勉強していた。

「お兄たん、ここの意味を教えて!」

 桐乃が指を差したのは、俳句問題の五問目だった。

 その俳句は、この様な俳句だった。

  

 俳句

 いくたびも 雪の深さを 尋ねけり

 


 叶人は、桐乃の質問に答えた。

「ここの意味はね、何度も何度も雪がどれくらい積もっているのか尋ねたという意味なんだよ。」

 それに、桐乃はかるく頭を下げると、次の問題に進もうとした。でも、もう一時間目が終わる時刻になったので、授業を終えることにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る