第5話再びみかん畑から

(果穂side)


家に帰ってお昼ご飯を食べたら、収穫作業のお手伝いをして、日が暮れたら倉庫で選果。

兄と父と3人でやっても終わったのは7時過ぎだった。


「あー、腰痛い。

今夜はもう食べに行こうぜ。俺が奢っちゃる。」

お兄ちゃんがそう言って歩き出す。


「えー、またラーメン?たまにはもっと良いもの食べに行こうよ。」

歩きで行くと言ったら近場のラーメン屋さんしか無い。


ラーメンもチャーハンも安くて美味しいから嫌いじゃないけど、3日前にも行ったばかりだ。


「そうだなぁ。ラーメンばっかも精が出ないから、ここらでたまには焼肉でも行くか?」


父の提案に大賛成。


「わーい!!焼肉がいい。」

私もノリノリで言って、兄の背中を追いかける。

「私が車出すから、お兄ちゃんたまには飲んでいいよ。」


「おー!果穂の奢りか?それなら腹一杯食べるぞ。」


「えー!お父さんの奢りでしょ?」

私だってアルバイト代程度しかもらって無いんだからと父を見る。


「みんな頑張ってくれてるから、父ちゃんが奢っちゃる。でも、亮太、ビールは一杯だけにしろよ。」


「やったぁ!焼肉久しぶり。」

親子3人テンションを上げて焼肉店に向かった。

焼肉をお腹いっぱい食べ、家に帰って少しのんびりする。


そうだ、インスタあげとこう。

思い立って、今日採りたてのみかんの写真と共に、スーパーで出会った親子の話を書く。


かき氷のみかんが好きで、また食べたいと言ってわざわざうちのみかんを探してくれていた親子。


『かき氷はありませんが、来週のイベントでは冷凍みかんを販売します。』

と記入して閉じる。


このブログも気が付けば1万人以上のフォロワーがいる。


毎日とはいかないけれど、気付いた事や嬉しかった事、素敵な出会いなどマイペースで上げている。


知らない誰かが、私のブログを見てちょっとの間だけでも、ほっこりとした気持ちになってくれたら、癒やしてあげられたらいいなと思う。


リビングのソファでいい気分でうたた寝してる兄を見て、毛布をかけてあげる。


変わらないけど平和な毎日、ずっとこんな風に過ごしていけたらいいなと、しみじみ思う。


お兄ちゃんも今年で27歳。

私の結婚を待っていたらきっと、一生結婚出来なくなっちゃうよ…


いつだって私を助けて励ましてくれる優しい兄、それを優しく見守る父。


お母さんが居なくてもみんな仲良くやってるよ。天国でいつも見守ってくれてる?


里穂は都会で1人寂しくしてないかなぁ?


みかんでも箱一杯送ってあげよう。

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