第2話~逃げられると思うな~

「大変です、組長!」

「……どうした」

「流讐の野郎がうちに攻めてくるらしいです!」

「そうか。俺らは最善を尽くすぞ! やってやろうじゃねえか!」

 こう話すのは、佐賀の指定暴力団『老兵会』である。大昔に老兵たちがお金稼ぎとして設立したのでこの名がついている。もちろん指定暴力団並みに危険だ。

「流讐の野郎は本気でうちを攻め落とそうとしてますよ」

「構わん。来るなら来い」

「でも! 準備が!」

「いつまでもたもたとしてやがる。俺たちはいつだって冷静だ」

「でも!」

「でも、だから。この言葉次に言ったらお前の首が無いと思え、若頭・上野博文くん」

「何でですか……」

 老兵会の若頭・上野博文は噴火した。なぜなら、組長・羽田が自分のシマが荒らされようとしているのにも関わらず、冷静だからだ。




 午前八時。老兵会のシャッターが壊された。佐賀と長崎の『戦争』の開幕である。

「おい、老兵会。今日までありがとさん。流讐会組長の田中だ」

 異変を察知した。事務所に誰もいないのだ。

「誰もいない……だと?」

「ファイアボーナス」

 その直後、呪文と同時に赤い火の玉が飛んできた。田中のスーツは真っ黒焦げになった。

「おいおい。クリーニング代は出さねえぜぇ?」

「……何のつもりだ?」

「チンピラみてえなことしてきやがって。こっちがありがとさんだよ、ボケが」

「ふっ、そうか」

「な⁉」

「お得意のネタはどうした。これじゃあツッコめねえぜ、相棒」

 そう言って、背中を舐めまわすように手をかざし

「……ハートブレイカー」

 内臓が飛び出した。死体に

「ご存じかい。佐賀は地理的に攻め落としやすい。俺はお前を墓場まで覚えておいてやるよ」

 他の組員すべてには

「ファイアウォール」

 火の壁が現れ、惨い死に方をした。

「佐賀討伐完了。俺を、流讐会を敵に回すとどうなるか来世でも学習してきな」

 そしてこの男は福岡へとシマを拡大するのであった。

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全国統一 八雲真中 @Ryukyu_KohaKu

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