全国統一

八雲真中

第1話~隅っこの闇~

 日本には暴力団がいる。そこで行われているのは「反社会的」行為だ。

「ケジメはつけたんだろうな?」

 お互いがお互いのことを見る。

「てめえ、これでシノギが出なかったらどうする!」

 ここは、長崎県長崎市にある『流讐会』の事務所。流讐会とは、日本で恐らくトップと言われた暴力団『軍艦會』の二次団体で、勢力は200人弱。彼は、組長の田中弘樹。

「もちろんシマは侵略されていない。となると、次は佐賀だな……」

 軍艦會は昔の団体なので、二次団体時の勢力は雀の涙ほどだ。それでも九州で随一の強さを持つことは変わらない。

「でも……近いうちに大きな戦争が起こりますって!」

「関係などない。ただひたすらに突き進めば良いだけだ」

 流讐会には譲れない戦いがある。それは、佐賀にある暴力団『老兵会』を倒し、佐賀を統一することだ。九州には、長崎の『流讐会』、佐賀の『老兵会』、福岡の『博多組』、熊本の『有明組』、大分の『大分別府会』、宮崎の『万厳』、鹿児島の『白熊』、そして、沖縄の『首里朱雀』がある。特に、大分と福岡は強力だ。強大なグループだ。

「そんなことを気にしてる暇があったら動け。警察に目つけられる前にな」

 田中はこう心の中で誓った。まずは九州の抗争は免れない、と。

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