第12話(童話)マイちゃんとブクブク
3歳のマイちゃんは、お外で遊ぶのが大好きです。最近は友達と泥団子を作るのに夢中です。でも汚れた手を洋服で拭いてしまうので、家に帰るときには服は泥だらけです。マイちゃんのママはその姿を見ていつも眉毛とお口を八の字にした顔をします。
ある日、ママはマイちゃんを家に迎えるとすぐにお風呂場に連れて行きました。そこでお洋服を脱がし、まずは温かいタオルでマイちゃんの体を拭き、新しいお洋服に着替えさせました。その次に大きなタライを持ってきて、その中に少し温かいお湯を入れました。次に白い箱を取り出してマイちゃんに言いました。
「これはね、お洋服を助ける魔法のクスリなのよ。」
そうしてスプーン一杯をお湯の中に入れ、手でまあるく一回円をえがきました。するとブクブクッと透明な泡がお湯から出てきました。
「わぁぁぁぁ。」
マイちゃんは大きな目をまんまるにしてそのようすをみました。
「マイもやってみる?」
ママがそう聞くと、マイちゃんは大きくうなづいて両手をお湯の中に入れ、グルグルと動かしました。そのたびにブクブクッブクブクッと泡が生まれてきました。
十分な泡の量を確認したママは、汚れた服をその中に入れてマイちゃんに言いました。
「マイちゃん。この中に足を入れて洋服を上からフミフミしてくれる?」
マイちゃんはまたも大きくうなずいてお湯の中に両足を入れ、交互に歩くようにしてお洋服を踏みました。
「いっち、に。いっち、に。」
ママがマイちゃんの動きに合わせて掛け声をしてくれます。それを聞いてマイちゃんは元気よく踏みます。
「いっち、に。いっち、に。」
少し経ってからママはマイちゃんを抱き上げてタライの外に出し、お洋服も出してお湯ですすいでからギュギュッとしぼりました。ギュギュッ。水気が無くなって服を広げると、なんと洋服についていた茶色い土がなくなっていました。ママはそれをマイちゃんのお顔の前で大きく広げて見せました。マイちゃんはまたもや大きく目を広げて驚きました。
「ちゃいろがなくなっちゃった。」
その様子を見てママは得意げに言いました。
「これはお洋服から茶色を取るための魔法のクスリだったのよ。」
そうしてお洋服をハンガーにつるし、お外に干しました。
それからというもの、マイちゃんはお外で泥団子遊びをした後にブクブク遊びをすることが好きになりました。ママもマイちゃんが自分でお洋服を洗うことを覚えてくれて大満足です。マイちゃんを迎える時の顔に困った表情はありません。マイちゃんの好きなニコニコ笑顔でマイちゃんを今日も見守っています。
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