第22話 脱出
一斉に鬼達は水晶の軌道を注視する。
美久はその隙に武司の服の袖を掴みローラ達の方に走ると全員水晶を投げた方向とは反対の銅の鳥居に向かって全速力で走る。
周りの鬼達は水晶を追って本殿に向けて我先にと走り出す。
美久達は松の参道を走り抜け三の鳥居を抜け次の二の鳥居を目指して走る。
水晶は八足門を超えたあたりに落ちたがダッシュの良かった鬼が滑り込んでキャッチした。
その水晶を誇らしげに持ってきて天童に渡す。
天童「おおっ、これか、これがアマテラスの水晶か」と水晶の中を覗きこむ。
すると「むっ」
「違う」
「これは偽物だ」
天童は声を震わせながら
「これはただのガラス玉だ」
天童の顔から怒りの表情が浮かびあがると渡してくれた鬼に呪文を投げかけ一瞬で鬼は爆発したように弾けてバラバラになる。
天童「おのれ、人間どもめ」
霊鬼も「やってくれたな」と
下り参道になっている道を鉄棒は駒のように回転しながら飛んでいきリンを背負って走るルビーの両足を後ろから砕いた。
ルビーはリンを背負ったまま参道に頭からひっくり返り2回転する。
驚いて立ち止まるローラ、ジェニー、美久にルビーは震える声で
「先に行って、私はもう駄目みたい、でもここで出来るだけ食い止める」ルビーの両足は膝から下が無くなり血がとめどなく出ている。
リン「私ももう駄目、ああっ、意識が無くなりそうよ、お願い皆んな先に、先に行って」
「後は任せて」
片足になっているリンはルビーと手を繋ぎ最後の気力を振り絞って参道いっぱいに結界を張る。
そこに走ってきた霊鬼と大勢の鬼達が体当たりして先に進もうとする。
美久達はごめんルビー、リンと叫びながら二の鳥居を抜けるとルビーとリンから最後のテレパシーが送られてきた
ルビー「皆んな今までありがとう。ドナの所に行くね、美久、最後まで諦めないで日本を救って」
リン「皆んな振り返らないで、必ず日本を救って、お父さんお母さん私もそっちに行くわ」
その頃、ルビーとリンの作った結界は霊鬼の2回目の体当たりで粉々になり力尽きた二人はその場で意識を失い、集まった鬼達に形も分からなくなるほど踏み潰された。
駐車場に着いた美久達はハイエースの真ん中のベンチシートに佳奈、その足元に景子を横たえ、
3列目のシートにローラとジェニーが乗りこんだ。
武司は運転席、美久は助手席である。武司はエンジンをかけると丑三つ時の国道431号線を東に向けて走り出した。
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