第24話 もしかして
「け……喧嘩!?」
どうしたら今の会話の流れから喧嘩に繋がるんだ!? 怖いって!
やっぱり俺なにかやらかしたんだ〜! 終わった!
「喧嘩というか……文句に近いです」
文句に近いです……? ちょっと理解出来ない。
と思っていると、委員長は次の言葉を投げてきた。
「最近飛鷹くん授業起きとーよね!?」
「お、おう……」
ん? 委員長、今……。
「やけんうちが授業ん内容ば送ることのうなったやなかとぁ!」
やっぱりそうだ。
「まあ、はい」
「全部……松永さんが転校してきてからばいね……」
やっぱ委員長博多弁だよな!? 意外すぎないか!?
つーか最近方言女子が多いなぁ!
「飛鷹くん」
「はい」
「松永さんのこと好きなんか?」
「……絶対無い」
「……
「本当だ」
「……っ……私、帰りますね」
急に標準語に戻るスタイル。
「ああ。俺もそろそろ帰ろうかな――うわっ!?」
二人同時に立ち上がった瞬間、委員長は制服のネクタイをつかんで俺を引き寄せた。
「ちょっ……委員長!?」
俺が慌てて離れようとすると、委員長は俺の耳に囁いた。
「いつになったら名前で呼んでくれるんですか?」
―――
家に帰って。
「ただいま〜」
「遅いわボケぇ!」
「ぐはぁっ」
帰って来たら妹にお玉で殴られるなんて……。どういう世界線だよ……。
「遅くなるなら言ってっていっつも言ってるよね!?」
「す、すまん」
「全く……ご飯、ちょうど出来たからよかったけど」
もう少し遅れていたら……それを考えて、俺はぞっとした。
だけど怒りながらも俺の飯を減らすことは無い。そういうところがかわいいんだよなぁ。
「……今変なこと考えたでしょ」
「なんでだよ」
「私のレセプターが反応してる! 嫌悪感レセプターが!」
「誰が病原菌だよ」
好中球(白血球の中の種類)なんかが病原菌などを察知するための受容体のことだ。
「……」
「無言で飯を減らそうとすんな」
「冗談だって。その気になれば出来るけど」
「なるな」
「はい、いただきます!」
「(誤魔化したな……)いただきます」
目の前のクラムチャウダーをかき混ぜながら、俺は委員長との会話を思い出していた。
――松永さんのこと好きなんか?
――……絶対無い
あの時……一瞬だけ……一瞬だけだけど、迷ったのはどうしてだろう。
「おにい」
もしかして俺は松永のことが……いやいやいや、それはない。流石にない。
「おーにーい」
ただ……委員長は、多分俺のことが――
「バカおにい!」
「はいっ、って誰がバカだよ」
いや、バカで反応する俺も俺か。
「バカでしょ。全く、さっきから呼んでるのに……」
「口が達者になったことで……。何の用だったんだ?」
「明日。初めてのバイトでしょ? まさか、忘れてないよね?」
あ。
「……ワスレテネーヨ」
「……」
「すぐ飯を減らそうとするな」
―――――
布団に潜ったあとも、飯のときに考えていたことが頭から離れない。
俺は……松永のことが、好きなのか?
いやいや、ありえない。俺は、いつか絶対にあの子に会うんだ。可能性がゼロに近くても、そのわずかな可能性に賭けたい。だから俺は――
委員長――森さんの想いには、応えられない。
△▼△▼
主人公勘良すぎて草(作者が言うな)
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