第17話 風邪と見舞い③
「ごめん! マジでごめん!」
お……俺はなんてことをぉぉおおお!!
キから始まってスで終わる二文字の行為をするところだったぞ!?
バカバカバカバカ!! 変態かよ俺!!
松永は頭まで布団被ってるし……。
髪をぐちゃぐちゃにしながら、うわーと叫んでいると、松永が蚊の鳴くような声で言った。
「……ばか」
パァン! と心臓が撃ち抜かれた気がした。
その思いを誤魔化すように、俺は言う。
「自分でも思っております……」
「……ならいい」
よくねえだろ……。トラウマだろ、陰キャにキスされそうになるとか……。
決してそういうつもりはなかった。気づいたらあの距離だったんだ。これは本当。
……という弁解を誰が信じてくれるだろうか。
「すまん……」
「いつまでも謝らんで。じゃあお詫びにおかゆ作って」
「分かりました……」
これで許してくれたらいいけど……。
って、さっき「……ならいい」って言ってたな。でも俺が俺を許せないんだよなぁ。
と考えながらおかゆ作りに取り掛かる。
? おかゆってどう作るんだ?
ってか俺が料理したらこの世の終わりじゃねえか。どうしよう。
「うーん……確かだいぶ前に陽茉梨が風邪をひいたとき作ったのは……」
うろ覚えだが、作ってみることにした。
♥♥♥♥♥
柚視点
布団の中で、うちはにやにや笑いを噛み殺しとった。
なにあれ〜〜〜っっ!! お姫様抱っこからのあの距離、なにあれ〜〜〜っっ!!
心臓死ぬるんじゃけど!!
今、ゆうちゃんはおかゆを作ってくれんさっている。
うちはもう許してんのに、健気に謝ってくれる姿、やっぱり好きじゃなぁ……!!
「んへ、えへへへへ……」
ドキドキし過ぎてもっと熱上がってしまう。
ってか、今日の分の勉強いつしよう。
いやいや、ゆうちゃんがせっかくお見舞いに来てくれんさったんだ、勉強のこたぁ一旦忘れよう。
ガチャッ
部屋のドアが開く音。
「おら、出来たぞ」
「(! ゆうちゃんの手作りのおかゆ……!)ありがと……ゴホッ」
そう言うて布団から出て、うちが見たもなぁ――
「なに……このどす黒い物体……」
「? おかゆ」
「……マジで?」
「? マジで」
こがいに黒いのに? 食べたら死にそうなんに? もはやこの世の終わりを現してない?
「俺、料理出来ねえんけど頑張ってみたんだ!」
「(料理できんのに!? 世も末じゃのぉ……)そ、そうなんじゃ〜……」
「自分で食べれるか?」
「え、え〜っと……」
やばい。これを食べたら死ぬる予感しかせん。
でも……頼んだなぁうちだし、ゆうちゃんが作ってくれんさったなら……。
ゴクリ、と唾を飲んで、うちは器を受け取ろうとし――
ガチャッ
一階から、あの音。
「!!!!! ゆうちゃん、隠れて!」
「え?」
「ええけぇ早うっ」
「ど、どこにだよ」
「ベッドの下やら!」
「入れねえよ!」
「じゃあもう、ここ入って!」
そう言うてうちは、布団の中にゆうちゃんを誘導する。
「はぁ……!?」
「早う!」
トン、トン、トン、トン。
ゆうちゃんは、うちの必死さに押されて、布団の中に入るのじゃった。
布団の中は二人じゃとぎゅうぎゅうで、体と体が密着する。
うちは、ドキドキが最高潮に達するのが分かった。
ガチャッ
「ただいま」
「お、おかえりなさい! ごめんなさい、しんどうて勉強出来ませんでした……」
「……あ、そう。でも、必ずやりなさいよ」
「は、はい」
そう言うて、お母様が出ていくのを確認したうちゃ、ふぅー……と息をついた。
「ごめんゆうちゃん、出てええよ」
「お、おう……もしや、松永の親って家に友達入れたらだめな感じ?」
「う、うん……」
「お前何やってんだよ……俺、どうやって帰んだよ」
「……窓?」
「……最近サバイバル過ぎねえか」
言いながらも、ゆうちゃんは窓から降りるのじゃった。(四階よりはましらしい)
△▼△▼
布団の中に高校生二人は入れな((殴
【読者様へのお知らせ 12/1に12話改稿しています】
しばらく週一更新で毎週土曜日8:13更新にします。
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