第15話 風邪と見舞い①
「じゃあ出席確認すんぞー。相原」
「はーい」
いつもの朝が始まる。
そう。俺にとって最高の一日が始まるのだ。
なぜかって? それはな――
「松永ー……は休みだな」
「なんだとぉぉぉおおお!!!」
「俺らの女神がぁぁぁああ!!」
「遅刻だと信じていたのに……!!」
クラスメイトの断末魔(松永がいないと死ぬのか?)が響き渡る中、俺は一人――
うおっしゃぁぁぁああああああ!!!
心の中でガッツポーズをしていた。
久々にあいつがいない生活!!
いや、前ほどは嫌悪感ねえけど、やっぱ久々に寝れるのは嬉しいじゃねえか!
一人でニヤニヤしてるからか、クラスメイトの視線が冷たくなっていく(元から)。
「先生! なぜ休みなんですか!」
「風邪だ」
「見舞いに行くぞお前らぁぁあああ!!」
「「「「うおおおおお!!」」」」
お前ら家どこか知らねえだろ! 適当なことほざいてんじゃねえぞ!
っていうか、俺だけじゃね? あいつの家知ってんの。
……なんでちょっと優越感に浸ってるんだよ。
その後、担任がなにやら話していたが、俺は安らかに眠りにつくのだった。
やっぱり、あいつがいないと俺は快適に寝れるんだな。
♡♡♡♡♡
放課後。
「はー、今日はよく寝た。久々に学校で寝れたなー」
うーん、と伸びをしながら帰っていると、あいつの家が視界に入る。
「……」
ピンポーン♬
気づいたら俺は、インターホンを押していた。
「っ……!?」
なんで俺押したんだ!?
自分で自分の行動に慌てふためいていると、インターホンが応答する。
『はーい゛……ってゆうちゃん!? ゴホッ、ゴホゴホッ』
カメラで確認したのか松永の驚いた声がスピーカーから響く。
「おい、大声出すなよ……」
『い、今出るけぇ! ちいと待っとって!』
バタン! ゴトン! ドサッ!
家の中から何やら色んな音が……。
大丈夫かよ……。インターホン押さないほうが良かったか?
と、今からでも帰ろうとしていると、背後でドアが開いた。
「ゆうちゃん!」
そこには、淡いピンクに兎の絵がプリントされたシルクっぽいパジャマ姿の松永。
何故か心臓が死にそうだ。
「お、おう……大丈夫か? すごい音聞こえて来たけど……」
「
「なってねえじゃねえか! おら、早く家の中入れ。
「待って!? ピンポンしたのに帰るの!? 酷い! グッ、ゴホッゴホッ」
「ごめんって! 帰らん、帰らんから!」
「じゃあ家入って」
「うっ……わかったよ」
流石に俺と押し問答してるせいで風邪が悪化したら申し訳ない。
そう思い、俺は渋々家の中へ入るのだった。
「な……なんだこれ!?」
「ちいと汚いけど、ごめん」
「いやいやいや……」
ちょっとレベルじゃねえ。
リビングはある程度スッキリしているが、階段どうした?
本とか雑貨とか色々散乱してんだが。
……あれか。バタン! ゴトン! ドサッ! のやつか。
あの音の正体はこれだったか……。
「いつもはもっと綺麗なんじゃけど……」
「そうなんだな……」
こいつの性格的に、自分じゃなくて親に掃除してもらってそうだが。
「そう言えば親はいねえのか?」
「……ん、今仕事」
「そうか」
ていうかそれしかねえか。
とか考えていると、二階に案内された(階段のものは全て踏まなかったぞ)。
「ここ、うちの部屋」
「へえ……」
意外とピンクとか明るい色はなく、ザ・スッキリって感じで、ゲームとかも全然無い。
まるで「必要最低限な物だけ置いています」って感じだな……。
それはそうと……問題は床だ。
なんでこんな散らかってんの?
階段より散らかってるんだけど? 何があったの?
そして、綺麗好きな俺は決意した。
まず、散乱した部屋と階段を片付けよう、と。
△▼△▼
パジャマ姿の柚……ゴクリ(何も考えておりませんよ)
毎朝6:13更新です。
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