第13話 RAINと尋問してくる妹

『これからよろしゅうね!』



 すぐにRAINが来た。

 うきうきとしたスタンプ付きのメッセージに対して、俺の返信は――



『おう』



 どうだ! ふはははは! これで会話は続くまい!

 ……別に自慢することでもないか。



『返事短うない!?』



 会話続けられちゃった!



『まあゆうちゃんらしいけど』『これが俺流なんだよ』



 俺が送ったのとほぼ同時にRAINが来る。



『あはは! あ、ほうじゃ。さっきの会話で、ゆうちゃんが『なんで俺にそこまで執着するんだ?』って言いよったじゃろ? あれなんじゃけどさ……』


『うん』



 そう言えば、あの話題はどこへ消えたんだ……。

 って違う違う。超気になってたことじゃねえか。答えを聞かせてくれるなんてラッキーだな。



『一目惚れじゃ』


「は?」



 思わず俺は間抜けな声を発してしまった。

 きっと何かの見間違いだ。目をこすってもう一度見てみよう。



「yuzu♥が送信を取り消しました」


 

 ほら見ろ。跡形あとかたも無い。――無いだろ?(圧)

 という冗談は置いといて、一目惚れだと? 


 転校初日で一目惚れしたってことか?


 待て待て待て! これモテ期到来じゃね!? ついに非リアな俺にもモテ期到来じゃね!?

 今夜はパーリーナイトだ!


 ピロン♬



『うちみたいな美少女が転校してきたのにのんきに寝とる人がおるなって思うて気になったの! それだけじゃ』


『自分で美少女って言うのかよ……引くわ』


『引かんでぇ!?』



 いや確かに美少女だが……でも自己肯定感が高いのはいいこと……いやでも……。

 まぁいい。そろそろ飯が出来る頃か。



「おにい〜飯出来たぞ〜」


「んー」


「さん、にー、」



 やっべ! 浮かれてて陽茉梨との「3、2、1勝負」忘れてた!



「待て待て待て待て!!」


「いち! はい終わりーおにいのご飯抜きー」


「終わった……」


「おっつー自業自得ー……――って、ちょっと待って!?」


「んあ……?」



 なんだなんだ、こっちは絶望してたとこだっつーのに。

 ――っておい!? スマホ奪い取られた!?



「おにい! なんでスマホ持ってきてんの!?」


「し、知るかよ!」


「だっておにい、食卓にスマホ持ってきたこと無かったのに! てか知らないって何!? 絶対なにか隠してる!」


「そ、それは……ちょっと動画見てたっつーか! RAINなんてしてねえって言ってんだ……ろ……ああああああっっっ!!??」


「ふーん……RAINしてたんだー? 誰? 女子? 男子?」


「男子だよ!」


「嘘。おにいに男友達なんて永遠に出来ないでしょ」


「うぐぅ……こ、公式RAINだよ……」


「ボッチっていうの紛らわすために? 悲しいね。なっさけなー、きっもちわるー、かっわいそー」


「お前なあ!? 俺はそんな悲しいことしてねえしな!? ちゃんと友達、と……うあああああああ!!!」



 なんで俺はこうも口を滑らすんだぁぁぁああああ!!!!



「はい、ギルティ」


「それ聞き飽きたって……なんでお前まで言うんだ……」


「は? 意味分かんないこと言ってないで、ほら座って座って」


「え、いいのか?」


「うん」


「あ、ありがとう……」



 そうやって椅子に座ったのが間違いだった。


♡♡♡♡♡


「で? 何があったの?」


「何もねえけど……」


「うっそ。最底辺陰キャなおにいが女子とRAIN交換するくらいでしょ? どんな弱みを握ったの?」


「あのなぁ……。そもそも俺は弱みを握ってねえし、むしろあいつが付き纏って来るんだよ」


「はぁ? 嘘つくとかほんと器ちっちゃいね。なんの取り柄もないおにいに付き纏う変態がどこにいんの?」


「さっきから地味にディスってくんのやめろ」



 そこから拷問まがい(水をかけられる、フォークを眼球寸止め)のことをされ、俺は全てを白状するのだった……。


△▼△▼


 毎朝6:13更新です。

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