第3話
彼は、元気だろうか。
任務を片付けながら、彼のことばかり考える。顔も名前も分からない、一緒に過ごした記憶すらない、彼。
彼と引き剥がされる任務を継続しているという点が考慮されたのか、任務の内容は簡単なものばかりだった。真っ当な殺し合いにもならない。哨戒と調整。それだけ。
どうせなら、もっと、殺し合いのなかに身を置きたかった。人ではないものを殺しまくって、心に立った波風を強引にでも沈めてしまいたい。
「無理か」
人ではないものは、心を食う。今の私は、食われるほど気弱な心を持っていなかった。彼と引き剥がされて、内心引きちぎられそうではあるけど。それでも普通に任務をするぐらいには、普通。心は元々かなり強いほうだった。だからこうやって、組織に入って任務に身を投じているわけで。
彼の心は、どうなんだろうか。
耐えられているだろうか。私のいない、世界に。
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