第1章 人間の光 其の2
一般市民が殺人を犯さないようにするためにも、私たちの仕事があるわけなのだが、ストロも言っていたように、やはり誰もこの仕事を良くは思えないようだ。
「フィン、私の方は準備できたよ。」
ストロが暗い声で言った。防弾チョッキを着て、ナイフや銃の入ったウエストポーチを持っている。バーサーカーの討伐には必ず持って行かなければならない装備だ。
「ストロ、おまえも相当つらいだろうが、俺だって同じだ。だが今は綺麗事を言っている場合じゃない。これしか方法がないんだ。私情は捨てて俺たちの仕事を全うするしかないだろう。」
「……うん。」
曇った表情をしつつも、冷静なフィンがストロに言い聞かせ、ストロも頷く。討伐へ赴く前には必ずこういったやり取りがある。私もつられて表情が曇ってしまう。
2人は重い足取りで研究所のエントランスへと向かい、フィンが私に言った。
「ホリー、いつものことだが留守は任せた。裏の調査のことは本部に言えないからな……おまえじゃないと進められない。頼んだぞ。」
「わかってる。危険な仕事を2人に任せっきりで本当に申し訳ないけど……。私の方も早く手掛かりを掴めるように頑張るから。……我が同士の生還を心から祈る!」
「「はッ!!」」
気持ちがさらに重くなってしまう前に私は号令をかけ、フィンとストロはバーサーカーへの討伐へと向かった。
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