第1章 人間の光 其の1

 どこを見渡してもネオンの看板にLEDの光……私がかつてアメリカと呼ばれたこの地に生まれるよりもずっと昔から当たり前の光景らしい。

 かつては朝や夜、時刻といった概念が存在していたらしいが、それらも歴史の授業で教わった程度にしか知らない。

 今この地球には、人間の手により作られた光しか存在しない。

 というのも、今から930年前に突如として太陽と呼ばれた恒星が忽然と消えたらしい。やはりそれも理科の授業で教わって程度にしか知らない。

 しかし、私にもわかる不自然な点……それは、地球に太陽の光が届かなくなったということ以外に大きな問題が発生していないことだ。

 太陽が存在しないと地球も存在できなくなる。

 それなのに今こうして地球は存在し続けているわけで、しかも人間を始めとした多様な生物が問題なく生きていける環境を維持し続けている。(当時と比べたら絶滅した生物もそれなりには存在するだろうけれど)


 自己紹介が遅くなったが、私の名前はホリー・ブラッド。【地球立狂人病研究所ちきゅうりつきょうじんびょうけんきゅうじょ】という組織の所長をしている。

 そこで【研究】という名目で行われることとは……

「緊急だ!バーサーカーが発見された!討伐に向かうぞ!」

「また!?ついこの間現れたばっかじゃん!最近多くない!?」

「仕方ないだろう!いつどこで現れるかもわからないんだ!1日で100体現れても不思議じゃないんだぞ!」

「あぁ〜もうわかったよ!行くってば!…うぅ〜…バーサーカーとはいっても、人間を殺すのって本当に辛いよ……。」

 緊急通告をした男性の名前はフィン・バット。研究所の副所長にあたる。

 もう1人の女性がストロ・キャスケットという名前で、最近別の支部から異動になってきた。

 そして、先にも述べた【研究】の内容とは、【狂人病きょうじんびょうの研究及びバーサーカー化した人間の討伐】…つまり、人間を【殺す】ことが私たちの仕事の一部となっているのである。

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