第5話 ミリネと私
場所は執務室
私は今、ミリネと共に溜まった書類に追われている。
「……」
「ミラ様、手が止まってますよ」
溜息を吐きながら、ミリネの方を見て注意する。
「だって、なんか難しいことが書いてるんだもん」
堅苦しいというか、面倒くさい言い回しとか私にとって最も苦手なものだ。
「みるだけで大丈夫ですよ、重要な書類は私の方にまわしてますし、後で私も確認するので」
「それって私要る?」
「ミラ様? 自分のした事をお忘れですか?」
うぅ……。
ミリネは笑顔でこっちを向かって行ってくるが、その目は笑ってない。
敬語な部分も恐ろしさを増している。
「今日はここまでにしましょうか」
「え、まだこんなに残ってるよ?」
正直、訳の分からないくらい書類で埋め尽くされていた。
「あれは三日後までの分なので、まだ余裕があります」
「そうなの?」
「はい、一週間分が運ばれてくるので、今日の分はこれで終わりです」
とはいえ、書類はたまりにたまっている。
明日からもこれが続くと思うとぞっとする。
「ミリネ、いつもこんなことしてるの?」
「えぇ、ミラ様には任せられないのでその分は私がやってます」
当たり前のことをやっていると言わんばかりの彼女に少し申し訳なく感じる。
「その、ごめんね」
「いいですよ、好きでやってますから」
「……いつもありがとう」
彼女にお礼を言うと、私は彼女の頭に手を置き撫でるとミリネは上目遣いで恥ずかしそうにこちらを見る。
「子ども扱いしないでください」
そう言いながらも彼女は嬉しそうでかつ恥ずかしそうに顔をそむけた。
こういう所が彼女は可愛い。
「さっさと終わらせましょう、私にできる仕事ってある?」
「……でしたらこの書類をお願いします。 わからない所があれば聞いてください」
そう言って私は書類を受け取る。
中々の量だ。
とはいえ、ミリネにばかり任せるわけにはいかない。
だいぶ迷惑をかけるかもしれないが、彼女の助けになりたいのだ。
そうしてミリネに呆れられながら私は彼女に聞きながら書類を進めていくのだった。
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