第3話 姉妹の助言
「私って、面倒くさいな」
つくづく思う。
お姉ちゃんの事を知っていないと不安で仕方ない。
何かやっているのは知っている。
だけど、お姉ちゃんは教えてくれない。
問い詰めても、いつもはぐらかされるのだ。
今回だってアニエの任務にいたというのは嘘だろう。
「お姉ちゃん、少しいい?」
「何? アニエ」
アニエがドアから少し顔を出して恐る恐る聞いてきたので私が答えると、部屋に入ってくる。
「あのね、姉様の事なんだけど……」
「どうかしたの?」
「あの、本当のこと言うけど姉様を怒らないであげて」
「本当の事?」
「うん、率直に言うと私達の作戦に姉様はいないわ」
彼女は悪びれもなく、そう言い放った。
わかってはいた。
お姉ちゃんと取引したのだろう。
「アルベラ様の増援として向かう事で取引したの?」
先程の会話でなんとなく予想はつく。
もし彼女の予測通り勇者が複数いた場合の保険として彼女を派遣したのだろう。
「だってミラ姉様強いもん、使わない手はないでしょ」
当たり前のように言う彼女。
確かにミラは魔王の名に相応しい実力だ。
二人が組めば、負ける事など想像もつかない。
昔、反対派の魔族全てをミラ様とアルベラ様2人で圧勝したほどだ。
総勢2万人その中にべリウス様もいたにも関わらず、全員半殺しにしたほどだ。
「それにしても、簡単に使わないでよ……何かあったらどうするの」
「そうはいっても、二人で勝てないのに私達がどうにかできると?」
序列一位と二位の二人が勝てないとなるなど想像できないが、もしそうなった場合魔族の負けが決定的になるだろう。
「一つ聞いていい?」
「何?」
「勇者が四人いるって言ってたけど、どういう事?」
「まず、べリウス様と戦った者は二人というのは聞いてるわね?」
その報告はべリウス様より受けている。
勇者と戦っている最中に背中から現れ、刺突されたと。
「べリウス様曰く、その刺突した奴は同じ布を纏っていたと言っていたわ……加えて今回のアルベラ様がはっきり聞いたと僕で正解だったと」
その言葉はまるで自分が複数いるかのような発言だ。
加えて、可能性としては内通者が居る可能性が出てきた。
「敵が複数いるとなると、少し面倒ね」
現状お姉ちゃんとアルベラ様以外、10位までの階位が動けない状態にある。
勇者は当面の危険として、賢者と剣豪を一人で相手できるものがいないのは痛手だ。
「私が少し指揮系統手伝おうか?」
「……助かる」
正直、私も普通にアニエが加わってくれるだけで指揮系統は大分助かる。
政務に追われたり、各階位の部隊の軍事作戦の打ち合わせで軍事作戦自体の指揮や状況把握が遅れているのも事実だ。
「私は何をすればいい?」
「詳細はここに記してあるわ、ここから貴方の好きなように改良していいから」
「……わかった、他にもあれば部下を通して伝えて」
そう言うと、アニエは扉を閉め出て行った。
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