第2話 勇者の数
私の弁明を終えるとミリネはアニエの方を見て、勇者ゼノンの情報を話しだした。
「これは勇者ゼノンの情報……とはいっても、グラナト様・べリウス様・サハリア様から聞いた勇者の情報からの推測だけど結論から言うとゼノンは複数いると私は捉えてる」
「複数? それは……」
「追記すると、少なくとも5人いると私は考えてるわ」
「どうしてそう言えるの?」
「過去に対峙した階位達からの情報を合わせた結果、口調や行動、戦闘の仕方が辻褄が合わなすぎるの」
アニエは口調など、詳細の細かいところまで彼女は問う。
それは相手がどんな性格でどんな魔法が得意で剣技や魔法の使用の有無など細部にわたり聞いたうえで出した結論だった。
「根拠は?」
「在りません、全ては彼と戦った階位達の情報を元にしてますから」
彼女は直接対峙していない。
彼女自身、いれば足手纏いという事がわかっているからだ。
だから憶測でしか判断できない。
ただ、普段憶測で言わない彼女がこれを言うという事は憶測が信憑性の高いものだという事だ。
「信じるか信じないかは貴方に任せるわ……だけど、私はこの憶測は間違いないと思ってるわ」
「……そう、ありがとう。 追って情報を記載して頂戴」
「わかったわ」
そう言うと、アニエは部屋を出て行く。
ミリネは溜息を吐くと、私に抱き着く。
「ミリネ?」
「心配したんだから、馬鹿……馬鹿……」
私の胸に顔を埋め、言う彼女の頭を撫でる。
「ごめんね、本当」
「許さない」
「えぇ~」
「お姉ちゃんはいつもそう、私がどれだけ心配しているかわかってない」
ぐすっと泣いていた。
これは流石に想定外だった。
いつもはミリネがムッスゥ~っと頬を膨らまして怒って私が謝るという予定だったが、泣いているミリネに言葉を失ってしまった。
「ミリネ、その……」
「言い訳なんて聞きたくない」
なんていうか、今回はいつものようにご機嫌が直ることはなさそうだった。
「お姉ちゃんさ」
「うん」
「私ってそんなに頼りない?」
「頼りないなんてことはないよ、むしろ貴方がいたからこそ私がこうやって自由に動けるんだから」
むしろ私はミリネやミリアがいるから両立できる面があるのだ。
頼りないというより頼りっぱなしだ。
「……そっか」
ミリネはそう言うと、私から離れ背を向ける。
彼女の表情が見えないというそれだけで彼女がどんな気持ちなのかわからず、不安になる。
「ごめん、今は1人にして」
ミリネは私の方を向くことなく、そう言い放つ。
何かを言おうとしたが、今何を言った所で逆効果なきがして部屋を出て行くのだった。
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