第11話 天使の目覚め
目をあける。
右でごそごそ蠢いている方を見ると、ミリアが裸で寒そうに布団に包まっていた。
相変わらず、彼女は寝る時に脱ぐ癖が抜けてない様だ。
「んっ、おはよう~」
私が起きたせいか、彼女はうっすらと目をあけ起き上がる。
眠そうに目をこすりながら、ウトウトしている。
その姿は完全に天使だった。
「まだ寝てれば?」
「うんうん、大丈夫そろそろ来るはずだから」
来るはず?
その言葉のすぐ、扉がドンっと開かれると掃除道具一式を持った白髪の女性が現れた。
「おや、ミリア様起きてらしたのですね」
「今日は来なくていいって言ったのに」
「そういうわけにはいきません、これも仕事ですので」
フンスッと鼻を鳴らしやる気満々な女性にミリアは呆れたように見る。
白髪の綺麗な髪に白を基調とした服装を纏ったお淑やか風な女性だ。
「別に私は身の回りの世話は頼んでないんだけど?」
「それは、私がしたいからやっているだけです!!」
言い切ったな。
ここまで清々しく言い放つ欲望丸出しの子は初めて見た気がする。
そうしていると、彼女は私の方を見ると首を傾げる。
「そちらの方は?」
「こっちはデミルお姉ちゃん……お姉ちゃん、こっちはカナンっていうの」
「お~、貴方がデミルさん……初めまして、いつもお世話になっております~」
なんというか、破天荒な登場とは裏腹に品格のある女性に見えた。
「それじゃ、皆さんはお着替えください……私は部屋を片付けますので」
そう言うと、彼女はご機嫌に窓ふきを始めている間に私達は着替え終える。
「そのくらいにして、仕込み手伝って」
「了解です」
そう言って彼女は掃除道具一式を部屋において私達と共に厨房へ向かう。
厨房へ向かうと、私は皆に挨拶を済ませるとミリアから紙が渡される。
その紙はこの店の品や値段のかかれた宣伝紙であった。
「お姉ちゃんは宣伝お願い」
私は戦力外と言わんばかりの言葉だったが、自分でもわかっているので何も言えなかった。
食中毒が出てもあれだしね。
以前、ミリアとミリネ両方に手料理を振舞ったことがあるのだが、トイレに駆け込んだ。
私も食べたのだが、何とも言えない気持ち悪い感触が口の中に広がり、外で吐き出したことを今でも覚えてる。
「わかった~」
私は宣伝紙を受け取ると、そのまま店を出る。
「よかったらどうぞ~」
私は道行く人に宣伝紙を渡していく。
道行く人の数人は常連の様で、その人たちは複数の紙をもらっていく。
きっと仕事先とかで渡してくれるのだろう。
ありがたい話だ。
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