第7話 情報屋
「おや、これは珍しい」
「久しぶり、元気にしてた?」
「えぇ、まぁ……それより何の御用でしょうか?」
私が来たのは何か理由があると察したのか、問いかけてくる。
「貴方に調べてほしいことがあるの、リグルスという商人を調べてほしいの」
「リグルス……ちょっと中で待ってください」
そう言って私は彼女に招かれるように席に着くと、彼女は本棚から一つの資料を取り出し、こちらに持ってくる。
「これをどうぞ」
その資料をめくると、リグルスの出生から裏の顔まで赤裸々に描かれていた。
強盗恐喝脅迫にとまぁ脛に傷どころか全身傷だらけな程に悪事が記載されていた。
「これらについての明確な記載はないかしら」
「明確な記載があったとしても証拠はもう残ってないといっていい……何故ならもう既に当事者はもうこの世にいないから」
なるほど、目撃者は全て始末したというわけか。
このままだと、今度はミリア達が被害に遭う。
それだけは避けなければならない。
「君には世話になってるし、私が何とかしようか?」
「何とかって?」
そう言うと、彼女は工程を話した。
➀国民に噂を流すと同時に大商会連合に悪事の噂を広め、王国にもこの書状を送る
➁リグルスに色仕掛けで近づき、彼を嵌める
➂内部調査を進め、決定的証拠を掴み彼を破滅へと追い込む
「内部調査って少し危険すぎない?」
「んや、既に何人か潜入させているからそこまでよ……まぁ、潜入した子達は揃って超帰りたいって懇願されてるけど」
そう言うと、彼女は資料を出した。
今回潜入しているのなNo.216/217/218の三名だ。
アルゴスの部下の名前は番号で呼ばれている。
理由はアルゴスの部下は孤児であることが多く、番号の方が何かと見分けやすいのだ。
「まぁ、彼女達は優秀だから、大丈夫だと思うけどね」
彼女はあらゆる場所に潜入、調査を行う犯罪集団として名高い。
本来なら、私は王としてアルゴス達を取り締まらないといけない立場だが、彼女達を養う代わりに対象を悪人のみに限らせ私達の仲間にした。
彼女達の情報屋工作は役に立つし、何より彼女達は人族にも情報網を広げているのでゼンについての情報が欲しい私にとって毒を一気に受け入れる気持ちだ。
「ちなみに、彼らはここに今夜襲撃に来るそうだ」
「時間は分かったりするの?」
「今の所、閉店後という事だけかな……わかったらまた連絡するね」
取り敢えずミリアのお店の件についての作戦はこれで決まったのだった。
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