第8話 忠告
「ミラ様、お戯れはおやめください」
「正解~」
そう言うと、右手に持っていた飴ちゃんを見せてくる。
子供扱いされたことで、ミリネは不満そうに頬を膨らましている。
「はい、あ~ん」
服のポケットから飴ちゃんを出し、彼女の口に向ける。
不満そうにしながらも、彼女はそれを含むと子供扱いされ不服そうな顔で私の方を見る。
可愛いな~!!
悶え抱きしめそうな感情を抑えながら、彼女はニヤニヤしながらミリネを撫でている。
「それで、何の用?」
「ミラ様にご報告です」
「報告? あと、二人きりの時はいつもの通りでいいよって言ってるのに」
「そういうわけにはいきません、ここでは魔王様と部下の関係ですので」
「硬いな~」
使い分けは確かに大事だとは思うが、彼女にはもう少し子供らしく生きてほしい。
そう思うけど、きっと彼女はきっとしないだろう。
「それで報告ですが、べリウス様は勇者ゼノンと思しき男と交戦、傷を負いながらもこれを撃退、勇者ゼノンはほぼ無傷との情報です」
「無傷!? べリウス相手に!?」
べリウス相手に無傷で勝つことは不可能と言ってもいいほど魔王軍では強力なはずだ。
魔法の腕に上、狡猾な戦いかたで初見では勝つことすら不可能なほど強力だからだ。
「っとはいっても、傷は浅く大したことはないそうです」
「そうか」
初見で油断でもしたか?
あるいは勇者ゼノンの他に何かあったのか?
色々考えたところで憶測かな。
「続いてですが、アルベラ様自身が勇者のいる場所に出撃すると言われました」
「珍しいね、彼女から行くなんて」
正直、こういう事で自分から行くなんて今までなかったことだ。
「どういう心境の変化なんだろ?」
「わかりません、ただ彼女が行くのは心強いという他ないでしょう」
ミリネの言うことは解る。
以前も彼女が出撃した際に他の魔族の成果以上の成果を持って帰ってきたのだ。
やる気になった彼女は心強いという他ないだろう。
「三月後に出発してもらう予定です」
「そっか」
その他いくつかの報告を行われ、ミリネは執務室を後にした。
「さて、私も適当に行くか」
ここで籠ってても暇だし、ゼンについての情報も集めなければならない。
どこの戦場に行こうかな。
剣豪と魔女はこの前戦ったし勇者ゼノン、ありだな。
以前、剣豪達と戦い、屈服させて情報を聞いたが何も情報は得られなかった。
今ある情報として戦ったことはないのは勇者ゼノンだ。
「言っとくけど、間違っても勇者ゼノンの所に行っちゃダメだからね」
私の言葉が聞こえたのか、ミリネは扉から顔を出し釘をさすようにそう言い放った。
バレてた。
「行ったら許さないからね!!」
ミリネが睨みつけながらそう言うと彼女は扉を閉めて出て行く。
……やめとくか。
帰ってきた時のミリネが怖いので、今回はやめておくことにした。
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