第6話 前途多難
「ミリネ様、失礼いたします」
「……どうぞ」
「べリウス軍は無事制圧完了、しかしべリウス様は勇者ゼノンと思しき者と交戦、負傷しながらもこれを撃退との事です」
「思しき? それはどういう事でしょうか?」
「それが、相手も名前を名乗ることなく交戦したようで、勇者ゼノンかどうかは……」
素性を隠してべリウス様と戦ったという事か。
そうなると、勇者ゼノンの他にもべリウス様と互角の者がいる可能性がある。
「そうですか、わかりましたありがとうございます」
そう言うと、兵士が外に出て行く。
これは由々しき事態だ。
べリウス様が交戦したのが勇者ゼノンなら問題はない。
だが、勇者ゼノンでないのなら脅威は更に増える。
頭が痛い問題だな~。
勇者が現れたり謎の人物、仕事が増える一方だ。
「チョコでも食べよっと」
口にチョコを含むと、口いっぱいに甘さが広がっていく。
「……よし、もう少し頑張るか」
ミリネは気合を入れると、再び書類の確認をする。
剣豪たちの方は奪還不可、怪我は大したことなく剣豪達を退ける事は出来ずか……。
戦況はあまりよろしくない。
勇者が現れた事で戦況はこちらが不利に傾いていた
どうするべきか。
頭を抱えながらミリネは考え込むが、答えが出るわけじゃなかった。
どうするべきだろうか?
第二位に出てもらう?
あの方に頼むのは躊躇う。
何しろミラお姉ちゃんでさえ、彼女を扱うのは苦労し自分より弱い相手が機嫌を損ねれば即座に首を刎ねるのだ。
「かといってあの方以外に相手に出来る階位はいないし……」
そう思っているとゆっくりと扉が開かれる。
視線を向けると、ゆっくりこちらを覗く白髪の少女がひょこりと顔を覗かせた。
わが最愛の妹のラニエだ。
「お姉ちゃん、アルベラ様が来てる」
「!?」
そう言うと、アニエの後ろから暴君と名高い第二位のアルベラ様が入ってくる。
「失礼するぞ、あぁそのままでいい」
私が立ち上がろうとしたが、魔力で身体を固定され制止される。
「何の御用でしょうか? あと、拘束を解いてください」
平常心を装いながら、ミリネはアルベラに言い放つ。
内心は、っというか少し漏れてしまっている程の恐怖だ。
「おぉ、すまんすまん」
そう言うと、身体の拘束が解け少し楽になる。
「聞いての通り、べリウスが負傷したと聞いた、参謀の貴様はどうするつもり?」
彼女の目を見ると私を試しているような感じだ。
「ミラ様と相談の後、アルベラ様にお願いしようかと思っておりました」
「ふむ、そうか……いつ?」
「……え?」
「行くとして、時刻はいつだ」
……あれ?
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