第4話 激突

 場所は第5防衛拠点だった場所。

 勇者が出たという報告を受け、魔族階級第三位のべリウスは魔王ミラの命を受けて向かっていた。


「報告します、べリウス軍準備が完了しました」

「そうか」


 べリウスの後ろの軍隊に目を向ける。

 

「さぁお前達、存分に暴れるがいい」


 べリウスが号令をかけると、一気に走っていく。

 

「俺は勇者を相手にする、見つけ次第報告せよ」

「了解いたしました」


 そう言って階位候補のウベルが森の中へ消えていった。


「さて、獲物は釣れるかな?」


 べリウスは空中へ飛び、視線を向ける。

 結構な数いるな。

 こちらの戦力は数百、対する敵は数万人と言った所だ。

 敵もなかなかやる奴の場合、負ける可能性もある。


「少し減らすか」


 魔法を展開する。

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~」


 詠唱を開始し、巨大魔法業火炎ヘルフレイムの準備をする。


「!?」


 魔法の斬撃が飛んでくる。


「そっちから教えてくれるとはな」

 

 魔法の放たれた方向を見ると、何かを見つけたのかべリウスはその方向へ向かう。

 攻撃の場所へ向かうと、黒いローブを深くかぶった男がいた。


「我はべリウス、貴様の名を聞こう」

「君に答える義理はないよ」


 興味のなさそうな声でそう言い放つ。

 瞬間、べリウスは男に向かって手を翳し、魔法を放った。


「ほう、やるではないか」


 巨大魔法のとは比べ物にはならないとはいえ、目の前の物を塵一つ残すことのない強力な魔法を壊せるか。


「貴様、報告にあったゼノンだな」

「さぁ、どうだろうね?」


 そう言うと、男は剣を引き抜く。

 それと同時にべリウスの表情が変わる。


「貴様、それをどこで手に入れた」


 それは元序列0魔王の中の魔法と呼ばれたべリウスの親友の剣だった。


「答える義理はないね」

 

 そう言って勇者は構える。


「……不愉快だ」


 構えを見て彼は憎悪の籠った瞳で男を見る。

 男は何も答えない。

 

「貴様は何者だ、ローブを取れ」

「君に見せる気はないよ」


 男は口角を上げると、べリウスの元へ走る。


「ならば死ぬがいい」


 べリウスは懐から石を二つ投げる。

 それと同時に、石が光を放ち魔法が発動する。


「面倒だが、貴様の手の内で戦おう」

 

 魔剣べゥ。

 火と風魔法を纏った魔力の剣だ。

 

「それは愚策だと思うよ」


 そう言って互いの剣がぶつかり合う。

 

「くっ」


 べリウスは彼の剣戟に焦りの表情を浮かべると、男は笑った。


「弱い弱い、第三位はその程度か」

「ぬかせ!!」


 とはいっても、べリウスにとって不利という他ない。

 このまま撃ち合えば、先にべリウスが膝をつくことになるだろう。

 

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