第94話 生徒会集合です
その日の放課後、レストは生徒会室に隣接する会議室へと向かった。
貴族の子弟・子女が大勢通っている学園は生徒会の規模や権限も大きいため、関係者しか使うことができない専用の会議室や談話室が与えられているのだ。
会議室には横長のテーブルが前後に並べられており、椅子も置かれている。
レストとローズマリー姉妹は一年生ということもあり、後ろの席に着いておいた。
しばらく待っていると、生徒会役員と執行部のメンバーが会議室に勢ぞろいする。
役員だけで二十人。執行部が四十人。
それなりの大所帯であったが……五つの学科、三学年それぞれにメンバーがいるため、多すぎるというわけではないようだ。
「やあ、集まってくれたね。みんな」
やがて生徒会長であるアンドリューが現れる。
その左右には、側近であるユースゴス・ベトラスとリランダ・マーカーの姿もあった。
「みんなに今日、集まってもらったのは他でもない。もうじき、本年度上半期における最大のイベント……『魔猟祭』が開かれる」
集まった生徒会メンバーの前に立ち、アンドリューが口を開いた。
魔猟祭というのは文字通りに魔物を狩猟するというイベントであり、毎年、魔物の繁殖期が終わった春の終わりから初夏に行われている。
参加するのは魔法科、騎士科、神官科の生徒。神官科は主に医療スタッフとしての参加。文官科と芸術科の生徒であっても、希望者は参加することができる。
王都の外にある平原や山を舞台として、学園の生徒がグループごとに魔物を狩って数やサイズを競うのだ。
この世界において魔物は人間の天敵。魔物を狩ることは民衆を守る貴族にとっては義務であるため、学園でもこのようなイベントが行われているのだ。
「参加は任意であるとはいえ……例年であれば二百人は参加するだろう。知っているとは思うが、魔猟祭では毎年のように怪我人が出ている。一昨年は五人の死者も出た。生徒会としてイベントが滞りなく実施されるように全力を尽くさなくてはいけない。役員は運営として、執行部は有事の際の救助スタッフとして動いてもらう」
生徒会は魔猟祭において、教員と共に裏方として働くことになる。
今日、集められたのはそのためのミーティングなのだろう。
「これから資料を配るから、それに従って配置と仕事に就いてもらいたい。陣頭指揮は三年生が執るから、その指示に従って動いてもらいたい。特に救助スタッフは参加者の命にもかかわる仕事だ。心してかかって欲しい」
アンドリューが座っている生徒の一人に目を向けた。
目配せを受けた生徒が椅子から立ち上がり、口を開く。
「救助スタッフの指揮を執らせてもらう、魔法科三年のアイシス・カーベルトだ。一人も死者を出さないように尽力するので手を貸してくれ」
凛とした相貌で挨拶をしたのは背の高い女子生徒である。
趣味なのか男子用の制服を着ているショートカットの女子生徒……彼女の名前はアイシス・カーベルト。
執行部のリーダーを務めている女傑であり、学生でありながらすでに宮廷魔術師としての内定が決まっている。
凛々しい顔立ちと雰囲気から男性よりも女性に好かれそうなタイプであり、事実、校内には彼女のファンクラブまであるという。
レストも執行部に入った時に挨拶をしており、親しいというほどではないがいくらか会話をしたことがあった。
「一年生は今回が初めての魔猟祭になると思うが……くれぐれも無理はしないで欲しい。三年に一人、これは救助スタッフから死者が出る割合だ。これは訓練ではなく実戦だと思ってくれたまえ。もちろん、辞退を願い出るのも構わない。執行部は辞めてもらうことになるがな」
会議室にわずかに緊張が走る。
それでも、見たところ臆しているような生徒はいないようだ。
執行部に入る者は魔物との戦闘経験がある者ばかり。今さら、恐れて逃げ出すような人間はいなかった。
「よろしい。それでは、詳しい配置について説明する。資料の五ページを見てくれ」
それから、魔猟祭での配置や緊急時の対応について話し合い、放課後の会議はお開きになった。
その一週間後。
打ち合わせしていた通り、魔猟祭が開催された。
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