第6話 一緒に帰りましょう??


「ふー、なんかさっき色々あったけど結局2人は婚約はしてないってことでオッケー?」


 昼の放課、ST後の俺と小野ちゃんのやりとり以降空気感からか話しかけられなかったぽい山本と成瀬が、少し恐る恐るといった様子でこちらへと近づいてくると俺と小野ちゃんにそんなことを問いかけてくる。...まさか、こいつらに恐怖という感情があったとは驚きである。


「あぁ、そういう解釈で間違いない...よな?」

「はい。そういうことで私もオッケーです」


「今は」という部分を強調し笑顔で俺の言葉に同意する小野ちゃん。...諦めてないってのはマジっぽいなこれは。


「「うーん」」

「? どうかしたか?」


 すると、そんな俺たちの返事に山本と成瀬は何故か首を傾げる。


「「いや、なんというか...ドクが下手したてに出てるの違和感凄いなって」」

「いや、下手したてに出てるつもりはないんだが?」


 俺が不思議に思い尋ねるとそんな答えが返ってくる。俺としてはそんなつもりはサラサラなかったので予想外の反応である。


「いや、いつものドクなら「してない。以上この話は終わりだ」って感じじゃん?」

「だよねぇ。いつものドクなら「そんなことも分からないのか、この蛆虫どもめ」ってじだし」

「いや、山本のイメージは明らかに間違ってるからな?」


 まだ分からなくはない成瀬の意見に便乗するようにして、そんなこと言う山本に俺は慌ててツッコミを入れる。本当に油断も隙もない奴である。


「な、なるほどいつもだと「こんなことも分からない蛆虫ども話は終わりだ」って感じなんですね」

「いや、小野ちゃんも違うからな!? 山本に騙されるな!」


 顔合わせしたばっかりなのでか少し緊張している様子の小野ちゃんは必死にコクコクと頷きながらそんなことを言うので、これまた俺が慌てて訂正する。多分、小野ちゃん冗談とかあまり分からないタイプだからやめてくれ

 山本。


「まー、とにかくいつものドクじゃない、変ってこと」

「よく分からないな」

「...なんか自覚ない所が本能的にやってるぽくてちょっと怖いけど」

「そうか」


 また少し怯えるように体を震わせる山本。うーん、こいつがこういう反応を何度もするとは本当に珍しいこともあるもんだ。


「と、というか、そもそもなんでいきなり婚約なんて流れにいったんだよ。その話まだ聞いてないんだけど!?」


 山本の話が終わったかと思えば成瀬が突然思い出したかのように、そんなことを口にする。


「あのドクに嘘とは言え将来結婚してあげるって言わせるなんて、小野ちゃんはなにをどうしたんだ?」

「いや、なんというかその...どうやら小学生と間違えられていたみたいで」

「本当にごめん」


 小野ちゃんが少し恨めしげに俺を見ながらそう答えるので俺は咄嗟に謝る。


「いや、それだけであのドクがそこまで優しい対応をとるかは結構疑問——」

「なるほど、つまりドクはロリコンってこと?」

「うん。とりあえず、山本は黙ってろ」

「ほら、いつものドクはこれだよ。やっぱりさっきは変だった!」


 なにか山本がとんでもないことを言い始めたので俺は少し鋭い口調でそう言うと、何故か山本は喜び手を叩く。うーん、やっぱりこいつは謎が多すぎる。


「まー、あそこの馬鹿2人は置いておくとして小野ちゃんって本当にただ迷子になった所を助けて貰っただけ...で合ってるよな?」

「は、はい、合ってます」


 するとそんな俺と山本を尻目に成瀬と小野ちゃんは話を進めていく。...やっぱり成瀬のコミュ力はとんでもないなと改めて実感させられる。どこにも緊張した様子はなく至って自然体だからな、アレ。まぁ、馬鹿発言に関しては後でしっかり説明して貰うけど。


「うーん、じゃあ分からないな。はっ、まさか本当にドクってロリ——」

「決めた、今すぐに消す」

「消すって何!? やめて、消さないで俺たち友達! 今日だって一緒に帰るって約束してたじゃないか」

「そんな約束をした覚えはない」

「帰り...!?」


 俺と成瀬がそんなやり取り(命がかかった)をしていると、小野ちゃんが反応しボソリとそんなこと漏らす。

 そして俺の元へと寄ってくると、


「今日、一緒に帰りましょう?」


 小さくそんなことを言ってくるのだった。ちなみに断ろうしたが、


「一緒に帰りましょう??」

「...はい」

「「やっぱりおかしいって!」


 圧に負け結局今日は一緒に帰ることになってしまうのだった。まぁ、婚約嘘ついたわけだしこれくらいならしょうがないか。




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 次回「いや、家まで入っていいとは言ってない」



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