第4話 観察の対象
父には、色んな妄想があった。
その中の1つに、私が、父の実の子供では無いというのがあった。
母が浮気をして作った子供だと。
弟が生まれて、父の愛情は、弟へ移った。妄想も手伝ってのことか。
時々、父が1つの部屋で、弟だけを呼ぶ。弟だけと遊ぶ。
そんな時、私は、幼心に、今、父は、何か考えてるな。危ないな。怒らせては駄目だなと感じた。別の世界にいるなと。
それは、父の行動からと、家族の雰囲気。母や祖母の横顔からも読み取っていた。
父の頭の中で、何か、想像めいたもの、父の妄想では、今、家族の1人1人は、どんな役柄になっているのか? 父の言動から掴み取ろうと努める。
なので、父が何を言おうが、父の言うことで傷ついても、我慢する子供になっていた。
母や祖母の行動から、誰よりも、父を気遣わなくてはならないと知っていた。
父に甘えるなんて、ありえなかった。
そして、どんなに父から傷つけられても、父を嫌うことは、許されなかった。
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