第28話 噂の彼女。だから、私やが?


 280.

 最近のSumaの話題、知ってるか?


 281.

 あぁ、翔ちゃんのライブ配信に出てきたあの人だろ?


 282.

 やばかったよな


 283.

 あそこの会社、実はアニメの世界だったりしない?


 284.

 知らない人です。教えてもらえませんか?


 285.

 構わんぞ


 286.

 事の発端は昨日の翔の雑談配信にて、なんやかんやで事務所に行った。

 社長室に行って社長と話そうとするも、扉は壊れてるし、仕事を増やさせまいと副社長が翔を捕まえて(社長室の扉を九重ちゃんが蹴破って中から)配信が終わり~っと思ったときに、一人の女性が社長室に訪れた。


 287.

 その女性がこれ~~~~


 288.

 ……理解しました。この人が何者かってことですね


 289.

 なお、女優ではない模様。


 290.

 いや、有名人ではないんだよなぁ。こんな人がいたら知らないはずがない。


 291.

 ボンキュッボンの三拍子揃った最強美人。


 292.

 声も綺麗だった。

 映り込む前は、ん?社長かな?だったけど、全然別人だったわ。


 293.

 ビックリするくらい大人の色気があって、見られた瞬間心を鷲掴みされた。


 294.

 そういや、色々な女優とかそういう事務所が彼女は何者か!?と探ってるらしいぞ


 295.

 そりゃ、天下取れるような顔と声とスタイルだもんな。


 296.

 一宮 桜と同じレベルの人材だよな。


 297.

 並んでても不思議ではない。


 298.

 むしろ、社長の権力で並ばせろ


 299.

 実際、実現したらどれだけの大人が死に絶えるか……


 300.

 結局、何者なのか?って話だよな。


 301.

 考察班によれば、Suma関係者は確定。

 社員なのか、それとも社長本人か、それとも外部の関係者。


 302.

 外部はないかな。

 目撃情報によれば、Suma事務所(何故か窓から)出てきて冒険者協会に行き、事務所に帰ってきたらしいので、恐らく社員または、行動から社長ではないか?と。


 303.

 社長だったとして、なんで骨格から姿変わってんだ?って話。


 304.

 そりゃ、お前、社長だからだろ。


 305.

 社長だぞ?何やるかなんて、想像つくわけねぇだろって話。


 306.

 社長の場合、大人のお姉さんと合法ロリを合わせ持つ究極生命体が完成するんやが?


 307.

 全年齢対象社長


 308.

 死角がなくなったな


 309.

 考察班に聞いたんやが、あの姿が社長だとしたら、あの姿強化フォーム的な感じらしい。


 310.

 社長(MAX POWER MODE)


 311.

 確か、加減ができなくてって言ってたから?


 312.

 そそ。あの最強社長が力加減を失敗なんてあり得ない(事実これまでそんなことはなかった)。ってことは何かしらあったということ。


 313.

 何かしら、か。それがあの姿になったことって訳か。


 314.

 何かしら→今までの社長の力では勝てない相手orシンプル事故


 315.

 どっちしても怖いのは俺だけ?


 316.

 安心して、私もよ


 317.

 俺もだ、同士


 318.

 推測の域を出ないが、仮に今までの社長の見せてた力で勝てない相手、がいた場合の話。

 相手は恐らくランク6では太刀打ちできない力を持つこととなる。最低限、玉座の魔法が効かない相手というわけだからな。


 319.

 なんで知らぬ間にこの世の終わりみたいな敵が現れてるんですかね?


 320.

 そして、そんな敵を殺ってるんですよね~


 321.

 まぁ、社長ですし?


 322.

 まだ社長と決まったわけではないのに、社長という流れで話が進んでいる件。


 323.

 逆に、社長以外が良いのか?


 324.

 社長が良いよなぁ?


 325.

 社長だと、嬉しいです!


 326.

 だるぉ?


 327.

 というわけで我々の見解は彼女は社長ということで(笑)!


 328.

 というわけで、お前ら、見逃すなよ!


 329.

 当然!


 330.

 まかセロリ


 331.

 何かわかり次第逐次連絡だ!




 ・・・


 そんなことになっているとは露知らず。


 社長は一週間ほどの休暇をもらっていた。


「暇ね」


 力が制御できず、仕方なく私は休暇を取り、自宅に帰っていた。


 高級住宅街、ではなく、都市外れに広大な面積を持つ家。

 それが私の自宅だ。


 学校の校庭くらいの面積がある我が家。

 正直、使ってない家であり、正直もて余してる家である。


「メイドとか雇っているから状態は良いんだけど……」


 いかんせん広すぎる。

 普段からリビングとゲーム部屋位しか使わない。寝室は大の大人が両手を広げても余裕のある大きさだが、私には広すぎて、普段はソファーで寝る方がしっくりきている。とか言いながら流石に今はベッドに大の字で寝ているのだが。


「それを一人でって……いや、九重が増えて二人か」


 いやいやそれでも広いわね。


「というか、今の私寝る以外やることない」


 そのせいで、本当に家に帰る意味ない。

 とはいえ、事務所にいてもできることがない以上、あそこにいても邪魔になるだけだろう。というわけで帰ってきたのだが。


「……ちょっと瞑想して、上手いこと制御できないか、やってみようかしら」


 せめて普通にスマホに触ったり、書類を読むことくらいはできないと不味いからね。


「ふぅぅぅ…………」


 むぅ。最悪最低限私生活に問題がなければ良いからな。

 足に割いてるリソースをいくらか分散して腕の方に……


「駄目ね、これじゃあ意味ないわ」


 足はまぁ大丈夫だけど、腕のコントロールが難し過ぎて余分な力が入るわね。


 うーん……


「しばらく、魔法で手でも作りましょうか」


 もう、体の方はどうしようもなさそうだからね。

 あと一週間すれば問題ないけど、流石にね。


「『マジックハンド』」


 半透明な魔力で作られた手を作り、普通の手と何ら変わりなく扱う。


「魔力操作は問題ないからね」


 出力が高くなる分は魔法の等級を下げれば問題なし。


「さて、ようやくスマホに触れる」


 この機会に貯まってた動画でも見ようかな?


「いや……あっ、折角の休みなら」



 ・・・


「ん?」


 プライベート用のスマホが鳴り、誰からか?と画面を見る。


「霧ちゃん?珍しいわね、霧ちゃんからなんて」


 いつも、何かあっても私たちに声をかけることなんてなかったし、集まるときも私たちの誰かが気が向いたって理由で集めるからね。


「えっと、用件は……えっ?霧ちゃんから遊ぼうってお誘い?」


 ホントに珍しいわ。

 でも、私も皆と話したいと思ってたところだから丁度良いわ。


「もちろん、オッケーっと」


 楽しみね。


 嬉しそうに微笑む彼女は一宮 桜。

 世界的大女優であり、社長の親友であった。



 ・・・


「ここ?……家じゃなくて屋敷じゃん」


 私、奴は先輩のクスリさんとユウナさんと共に社長の自宅を訪れていた。


 理由は稽古や配信での相談のためである。


「翔は、しばらく大人しくさせられてるからな。聡子さんに」

「あはは……」


 本当は翔さんを誘う予定だったのだが、翔さんは現在、副社長の説教の末、軽い謹慎状態である。


「翔は少し、おふざけがすぎましたね」


 ここ短期間で色々と撮っちゃいけないのを映しちゃって、その度に対処に終われて仕事が増えてましたからね。


 まぁ、私も人のことは言えませんが。


「って、わけです。今日は翔を出し抜くチャンスです。私用もありましたので、社長の家を訪ねるということになりましたが」

「奴ちゃんは初めてだったか?」

「えっ?あ、はい。私は初めてですね」


 というか、社長が家を持ってること自体初めて聞いたようなものです。

 普段からずっと事務所で寝泊まりしてるような人です。私は事務所が家なのかと思ってました。


「なら、早く行きましょう」

「おう」


 クスリさんが先導して、家に入る。

 玄関、というか正門?からインターホンで許可を取り中に入る。


「メイドさんもいる……」

「このサイズの家です。いてもおかしくはないでしょう」


 それもそうですが、ハウスキーパーとかじゃなくて、普通にメイド服を着ているというのが驚きなのですが?


 辺りを見渡す限りいる人はみなメイド服か執事姿だ。それは普通なのだろうか?


「わからん」

「まぁ、普通ではありませんがそういう仕事着ということですよ」


 なるほど。


「そういや、クスリ、社長がどこにいるのかわかるのか?」


 確かに。この家広いから、どこにいるかわからないと迷子になりそう。


「いえ、わかりませんが、多分リビングでしょう」


 そう、なのか?

 わからないけど、クスリさんが言うならそうなのだろう。


「リビングはもうすぐです。いなくても、最悪リビングにいれば社長の方からきてくれるはずなので」


 あ、それもそっか。

 体調不良?みたいな理由で休ませたらしいんだけど、事情を知ってる翔さんや聡子さんから何も聞いていないから、社長が何故休みを取ったのかは知らない。


「休むなんて何時ぶりですかね」

「そうだな。アタシたちが休むことはあっても社長が休むのなんてそうそうないからな」


 二人がそこまで言うなんて、本当に社長は仕事人間だ。

 一日業務を休むことすら、今日まで見たことがなかった。

 まぁ、聡子さん曰くちょいちょい休んでるそうです。副業のダンジョン関係で……。


「社長が副業のために休んでたことが判明して、これまで休みらしい休みを取ったことがほとんどなかったことがわかったわ」

「ちょっと大丈夫じゃない生活してるよな社長」


 うん、大丈夫じゃない生活習慣だよね。

 ブラック企業も真っ青な仕事人間だよね。


「まぁ、本人が大丈夫と言ってるので大丈夫ですけどね」

「あはは……」


 それを理解しているから苦笑いくらいしかできないよ。


「さて、着きましたね」

「普通、ですね」


 扉も、隣の部屋との間隔から多分部屋の大きさも普通の家よりは大きいがそこまで広いとはいえない。


「リビングは過ごしやすさを求めているので大きすぎると過ごしにくいのでしょう」


 確かに。

 学校の校庭で好きなことして良いよってなったときに、なんか居づらくなるやつ。

 ムズムズして、なんと言うか、こうこんなにいらないっていうやつ。


「そうですね」

「まぁ、その辺はその人次第なので知りませんが。では、入りますよ」


 静かに扉を開けてリビングに入る。


 あれ?そういえば社長に訪問の連絡ってきているのか?


「……あら、お客さん?」

「……家の子ね。ごめんなさい、今日訪ねてくるとは聞いてなかってけど」


 …………あれ?来る家間違えた?

 クスリさん?ユウナさん?


「…………?」

「誰?というか一宮 桜?」

「えっ?あっ、ホントだ」


 リビングには、二人の女性が座ってお茶して話しており、そのうちの一人は大女優の一宮 桜だった。

 もう一人は見覚えのない大人の女性。背が高くスタイルもよく、そしてその雰囲気でコロッといってしまうほどのオーラ。その二人が並ぶことに何の不思議も違和感もない、高貴で大人の世界が広がっていた。


「えっ?あの、ここ社長の家ですよね」

「えぇ。私の家よ」

「????」

「……えっ、まさかそういうこと?」


 クスリさんがいち早く何かに気づいた様子を見せていた。


「多分、あっちの女性が、私たちの社長よ」

「えっ??」

「うっそだぁ。あんなに大人っぽいわけないだろ」

「大人っぽくて悪かったわね」

「「「…………」」」



 それから、社長は社長ということを証明し、私たちはそれを飲み込むまでにそれなりの時間を要した。


・・・・・・・・・・

後書き


1000フォロワー突破しました~ありがとうございます!ちなみにPVは7万の★はだいたい280です。凄いのかはいまいちわかりませんが、凄かろうがそうでなかろうが、これだけの人が自分の作品を見てくれていると考えると嬉しいですね。


いや、自分が思ってたよりもでビックリしました。3ヶ月位でこれくらいになればと予想してたんですがね……。


というわけでこれからも頑張って続けていきますので、よろしくお願いします!

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