第14話 楽しい観賞会。私、やっぱり無双してる
御披露目動画を流す準備をする、私とクルシュ。
なお、動画のできは知らないので、少し楽しみでもあり、不安の種でもある。
「何だかんだではっちゃけたからなぁ」
「えっ?ヤンチャ時代ってやつ到来?」
「いや、それの副産物」
ヤンチャ時代は酷かったぞ。
その時代、好き勝手好きなことやった結果の副産物が今回撮ったものだ。
色々と手をつけては、荒らすだけ荒らして止める~なんてザラだった。
「あの頃の私なら、まず間違いなくここには立ってらんない」
「その頃の動画を見てみたい……」
動画なんて撮ってねぇんだよなぁ。
配信するって考えに至らなくてよかったと常々思っている。
してたら、意地になってダンジョン攻略までしちまいそうだもんな。
「ないから無理」
「ちぇっ」
「あんな時代、とっとと忘れてぇが、今の私のほぼ全ての技能がその時代に習得したものだからなぁ」
忘れようがないんよ。
いや、実際に忘れようとは思ってないよ?できれば思い出すのは回想する時だけにしてほしいくらいで。
「お、準備できたぞ」
「は~い。みんな、準備良いかな?」
・
『ワクワク』
『ドキドキ』
『どんなビックリ箱を見せてくれるか』
『社長のヤンチャ時代の副産物の結晶、つまり、これを見ればある程度社長のヤンチャ時代の異常性がわかるということか!』
『ヤンチャ時代の一端、か』
『どんな凄いことをしてくれるのだろうか』
・
うん、期待してくれてるところ悪いが、ただの社会人が好きなことを好きなよ~にやってるだけの動画です。
「それじゃ、流すよ~」
そして流れた動画
「……あれ?こんなんだったか?」
流れ出した映像は、私のやったこと、その全てを綺麗に纏めて一つの曲?というかステージ?にしてしまっていた。
「えっ?ちょっと、なにこの差分」
私の知らない3Dモデルがあるんですが?
おい、由実る!依頼主に、というか使用者に無断で増やした訳じゃねぇよな?
「って、コメ欄フリーズしてんじゃねぇ~か!大事な情報を抱え込んでんじゃねぇだろな!出てこ~い由実る!」
「ちょっと、静かにしてください社長!」
ヒエッなんでこんな怖い?!
ビビった……ちょっと?私、上司。貴女の上司。そんな恐喝染みた怒鳴りかたをして良い相手じゃないぞ!?
「……喋っちゃ駄目か」
ただ、怒りたいし、叱りたいのだが、クルシュのこの感じ、マジなので刺激はしないようにしようと思います。
パッポー(40分後)
「おっ、終わったな。すげぇなスタッフ。結構長々とやったのに、こんなコンパクトに、迫力満点で良いところを全面に押し出す動画にできるとは」
やはり、前々から見てて思ったが、彼らはプロだ!いや、プロだけど、プロの中のプロ集団だ!
「特別手当とか出してるけど、基礎賃金を社員の追加に合わせてあげるか。技術スタッフなんかは特に今より上げても問題ない」
それだけの技術量が取れる仕事だからな!
「ってなわけで、どうだった?」
冷静に戻って、動画の評価をとなりに座って何か目に影がかかるクルシュに聞いてみた。
画面の向こうのみんなにはついでに聞いておこう。
「すぅ~~」
「えっ?やっぱり素人のあれでダメダメだったかな?」
「凄すぎぃぃぃぃぃぃぃ!」
・
『ヤベェェェェ』
『なにいごれぇえぇぇ』
『なにごのびどぉぉぉぉ』
『戦いだけじゃなくて!この人何でもできるのかよぉぉぉ』
『これが御披露目配信なのかよぉぉ!ツアーレベルの出来映えの動画を御披露目でやんなよぉぉぉ』
『本人より本人の曲っぽくて、その上踊って、演奏して、マジでこの人天才かよぉ』
・
あれ?直った……いや、誰も書き込んでないことによるフリーズだったのか!?
「え~っと……うん」
流石の私も理解してるよ?私、凄いことをしたっぽい。
器用貧乏だとずっと思い込んでただけだった?!
「……いや、それに関しては私悪くない」
そんなことになったキッカケが悪い。
でも、やっぱり言わせてくれ
「これでもやっぱり冒険者以外は凡人なんだよ?私」
「んなわけあるかぁぁぁ~!!」
・
『そんなわけがあるかぁ!』
『プロレベルを凡人言うなぁ!』
『プロ泣くぞ!プロの意味なくなるよ!』
『やっぱりこの人、何で社長やってんだよ』
『社長、あんたが最強だよ。わかったよ、だからあと何個隠してるか正直に言ってみ?』
『これでもまだ底を見せない社長が凄すぎてこの人を現実の人間とか思えない』
『あの、私、プロ。社長、アマチュア?なのに私より上手い(涙)』
『涙ふけよ』
『ほら、酒奢ってやるから、涙ふけよ』
『冒険者は凡人じゃないって認めてるんだ』
『いや、そこ?』
『もう、この人一人で大体のことできちゃうじゃん』
・
「社長!あんたはプロや!凡人じゃないわ!仮にこれらが普通並でも、これだけのことを普通にできる時点で凡人ちゃうねん!」
「お、おう」
肩捕まれてブンブンブンッ
頭がカクンカクン
クルシュはギャアギャア
ここまでおかしくなったの初めて見たよ。
もう五年以上になるのにな。
「ふぅ、ふぅ。とりあえず、社長は自分の異常性を理解してください!」
「いや、弁明を、弁明を!」
「こうなった理由があるみたいですね。この際です、聞いていきましょうじゃないか」
語尾というか日本語がおかしいぞ。大丈夫かお前?
いや、正気の目はしてねぇな。
「とりあえず、落ち着いたらな」
「もう、落ち着いてますよ!」
「あ?落ち着けって。興奮しすぎだ」
ホントに少量の魔力を纏って目を見つめる。
これは魔力を持ってない人に聞く技だが、この見つめられたときに、持ってない人、あるいは少ない人は、魔力を感じない。だが、体はそれを感じる。だから脳は危険信号を出し、猫みたいに毛を逆立てる。
「ピィっ!?」
ただし、危険性はないのでそれ以上にはならない。ので、相手の正気を取り戻したり、興奮してる人を落ち着けるときに使っている。
「よし、落ち着いたな?」
「えっ?あ、うん。えっ今なにした……」
そんなことは気にするなよ~。
さっ、話を戻しましょうね。
「とりあえず、評価は上々だな。スタッフには感謝しねぇとな」
「いや、そこは今は置いといて、いや置いとけないか。最高の動画にしてくれてありがとうございますー!私の時もよろしくお願いします~!」
無言のサムズアップの幻影が見えた。
「さて、まずは私がこんなに異常?なった理由から話していこうか」
「ふざけた答え言ったら絞めます」
「私、上司、貴女の雇用主、絞めちゃ駄目」
「良いから吐きなさ~い」
無視すんなよ、あと揺さぶるな。
「もう良いや。私がこんなに器用貧乏なのはまぁ、元々だけど、これらはまず、青春時代に覚えました」
「ヤンチャ時代じゃない?」
「違う、青春時代。やんちゃ時代の前だ。その頃はな、数少ない友達たちとそれなりに良い日々を過ごしてたよ」
まぁ、陰キャには変わりなく、近しいものたちのシンパシーで集まった集団だ。
「そこでそれぞれ色々な特技とかがあってな。教えあったりしてたんだよ」
「特におかしなところはないな……ここからどうこうなるんだ?」
おい、いい加減失礼だぞ!
話してる途中だから言わねぇけど!
「はぁ。その時、私は毎回2番手、3番手だったんだよなぁ」
「えっ?今と同じくらいで?」
「いんや、今より少し下手。ここまで上げたのがヤンチャ時代」
・
『それは最早』
『特化の天才と器用な天才関係かよ』
『はい、雲行きが怪しいですね』
『これってもしかしてさ』
『うん、もしかするよね』
・
「私は戦闘、運動以外はその子たちに絶対に勝てなかったんだ。だから、私はなんでもできるが一番じゃない、そんな器用貧乏だと、凡人だと思ったわけだ」
「全部で2、3番取れてる時点でおかしいと気づけぇぇぇ!」
・
『なにその集団』
『はい、少しここで嘘みたいな予想が立ってしまった』
『なんだなんだ?』
『このレベル、プロよりプロだろ?で、そんな社長がこれらをヤンチャ時代の副産物って言ってる。つまり、青春時代の実力はプロレベル、その時点でその友達は社長の今のレベルに達してると仮定する』
『……そのまま成長しているとすれば』
『世界的大スターレベル以外あり得ない』
『うん。それで、社長と同い年くらいと明言されているってことは』
・
「えっ、まさか」
「ん?もしかしてその頃の友達って何者か?ってことか?」
「うん。あの社長、その方達とは今」
「今も親友」
「で、その方は今何を」
「ん?当然その得意な業界で生きてるらしいぞ?」
・
『お、おい、怖くなってきたぞ』
『この人、まさか人脈チートまで持ってんのか!?』
『もう、予想がついてきたぞ。当たっててほしくない予想だがな』
『うん、頼むから現実になるな!』
・
「確か、歌が上手かったやつは『Kiring』、演奏が上手かったやつは『七草 志郎』、ダンスが上手かったやつは『こうしろう』、演技が上手かったのは…確か今は『一宮 桜』だったか」
「……駄目やん」
・
『全て、予想通りで草も生えない』
『社長、人脈チートまで持ってた』
『そらそんなのと比べたら自分は凡人とか思っちゃうよねぇ』
『その分野の超天才と比べたら、な』
『笑えねぇよ、この人脈』
『親友、天才が孤立して、天才が天才にシンパシー感じて仲良くなって教えあった結果が今の超天才たち』
『信じられるか?こいつら全員同じ学校にいたってことだぜ?』
・
へぇ~あいつらって今凄いんだなぁ。
こういう活動してる~とかこう言うのがあるんだよねぇ~くらいしか聞いてないから知らなかったよ。
お互い仕事には踏みいらない関係だったし。
「まっ、やっぱりあれと比べたら凡人ってことで、納得してくれたか?」
「……うん、納得はした。けど、この事実を受け入れられない」
・
『うん、そんな環境にいたら自分の評価変わるよな』
『納得はした。理解はできない』
『これらを聞いて納得した。やっぱり社長が一番やべぇ』
『それらと競えるレベルを全て会得したわけだからな』
『確かに器用貧乏ではあるな。ただそれは貧乏ではないわな』
・
「ちなみに私はそいつらの活躍とか知らんのだわ。逆も同じね。仕事関係には不干渉的な関係だったからね」
「えっ?」
・
『知らんの?』
『知らない、だと?』
『ヤバイ、この人ヤブァイ』
『確かに陰キャ関係ってそんな感じなのかも』
『不用意に相手のプラベに踏み込まない、好きなことを好きなように話して、それをただ聞いてくれる』
『確かに、そんなんかも?』
・
うん、言ってる通り、心地良いんだよなぁ。
あの関係が一番良くて、ヤンチャ時代はそれがなくなって色々と吹っ切れたというか振り切れたというか、で色々とやりまくった日々だった。
「というわけで、お前らの反応気になるし、端的に教えてくれ」
「全員!冒険者ランク6レベルっ!」
「ほう、そりゃ凄い」
「つまり!全員その業界のトップ!」
・
『当事者の反応が同じ域だから、それくらいの反応なの、この人ランク6で社長なのを思い知らされる』
『おう』
『しっかり、その集まりにいた社長は冒険者の能力で最強になった。その後、日本の娯楽コンテンツを立て直した会社の設立者で社長』
『もう、驚かない。驚けない』
『顎が開きっぱなしでもうこれ以上開ける口がないです』
『腰が抜けるレベルで驚いたのでもう驚いたら死ぬしかないですね』
・
いや、驚いたよ。
まさかそこまでのやつらだったなんて。
今度会おうかね。
「丁度良いし今度連絡とってその辺の話も含めた場でも設けようかね」
「世界一豪華な食事会だよ」
「いや、プチ同窓会みたいなもんだ」
・
『規模がちげぇ』
『規模が世界規模』
『世界規模の同窓会』
『超天才クラブ』
『見てみてぇけど、見れないような世界』
『下手したら大統領が集まるよりも凄い場なのでは?』
『一人一人が資産既に国家予算超えで持ってるからな。世間への干渉力も半端ないからな』
『最近、一宮 桜さんが一言テレビ局に苦情呟いたらそれがキッカケで局は大炎上の末不正とか見つかって局のトップが総入れ替えされたって話もあったな』
『こうしろう とかが何か一言物申したことを言った途端、それらを煽ってたり燃やしてた連中全員が晒し上げられた上で燃えて社会から抹殺されたって話も』
『それくらい、影響力が凄い人たちと、親友……』
『そしてそれらが集まるかもしれない』
『そこで何かへの愚痴が出ようもんなら』
『怖すぎるだろ』
『これもう、絶対に社長に逆らえないだろ』
『政府、もとより社長にビクビクしてたのに、さらにビクビクしなくてはいけない』
『してたっけ?』
『少なくとも、ランク6はそれだけの力はある。というか社長を野放しにしたくないから副業として続けさせてる政府や協会よ』
『確かにwwどっちが上か、これじゃわかんねぇや』
・
んなことしねぇよ。
余程じゃなけりゃな。
「って、時間が二時間越えてる……」
「ホントだ……って、どうする?続ける?」
「まだ質問とかされてないし、ほとんど御披露目とその反応で終わっても良いなら」
「よし、続けよう」
大丈夫か~?隣に座ってるからわかるがもう満身創痍みたいに疲弊してるじゃねぇか。
「はぁ。まっ、続けたいなら続けようか」
御披露目兼コラボ配信は、まだ続くようだ。
・・・・・・・・・・
後書き
VTuberやるついでに、ここらで社長の周囲やら何やらをなるべく出し揃えようかと思ってたから少しVTuber感ないですね。普通な感じのは、一端落ち着いたらやるつもり。ダンジョン配信(日常パートも)。
と、ただの独り言でした。
あとは、週間ランキングとかで約150位くらいになってたのは驚きと感謝を感じたのでありがとうございます、ってことですかね。
これからも頑張って続けていこうと思います。
募集?:使ってほしいネタとか、ダンジョンで出してほしいな~という魔物でもネタでもあれば書き込んで頂けると使うので。
ネタは際限なく出てこないんだよ。 こうやって募集したくなるくらいには。ぜひよろしくお願いします!
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