貴方に逢いに

 村が完全に眠りについた頃、黒を彩る三日月のような金髪を揺らめかせて、女性が家を抜け出した。

 彼女の行き届いた管理のおかげで、村は非常に治安が良い。

 そのため、深夜であっても女性一人で外を出歩くことが可能だ。

 オレンジの瞳の奥が、彼女を照らす無数の星明りのようにキラキラと輝いており、小さく可愛らしい口元は、愛しい男性を想ってニヨニヨと歪んでいる。

 油断すれば鼻歌を歌いそうになりながら、軽やかに白銀の彩る道を歩いた。

『ああ、コールさん。早く貴方に会いたいわ。ログの気持ちが痛いくらいに分かる。姿を見たくて堪らない。話しかけて、側にいたくて堪らないのよ。そろそろ、もう少し私に慣れて、近寄っても平気になってほしいわ。日中だって会えるようになりたい。本当は、貴方のお家に遊びに行きたくて仕方ないのよ』

 その身に溶かしきれぬほどの愛を詰め込んで、心の内で情熱を暴れさせる。

 雪がチラついて外はすっかり冷え込んでいるのに、彼女の口からホウッと漏れ出る吐息は熱い。

 ドキドキとなって止まない胸を、温かな外套の上からギュッと握った。

 村の隅に生えている巨木の根元で、サニーの愛しい男性、コールは、今夜も彼女を待っている。

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